「ディランの本質に迫れている点では買えるが。。。」アイム・ノット・ゼア あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ディランの本質に迫れている点では買えるが。。。
ボブ・ディランという人は、謎が深いというか、理解しにくい人です。わたくし自身、この人の魔力に取りつかれ自伝やら評論書やらドキュメンタリーやら2年くらい使って研究しました。自前の浅はかな解釈でいうと、この人は時代を笑い声とともに闊歩した道化師であり、今でも生きているのは卓越したユーモアのセンスがあったから。
この人を理解しだすと人生そのものが楽になるので、興味があるお方はかじるのでなく、踏み込んでみる事をお勧めします。この人に対するわたくしの感情は、愛そのものだと思います(笑)。
さて、本作はそんな謎の人物ディランを6人の俳優を使って描いた野心作です。時系列どおりに描くのでなく、監督のユニークな世界観で詩的に映画は進行していきます。ケイト・ブランシェット演じるディランは特に良く、女性なのに似てさえいる。
ただ、ディランのシュールな詩の世界どおりに映画を作ろうとしたのはいいですが、いかんせん長すぎます。これだけの難解な展開では、よっぽどのディラン信者じゃないとついてこないでしょう。
ゴダールを思わせるシュールさですが、ゴダールは映画を短くまとめた。そこに彼の意味不明な魔力があったのでついていけたのです。トッド・ヘインズ監督にはゴダールほどの魔力はありません。そこに2時間以上もやられると、寝るなと言われても無理な話です。
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