「あざとさだけが心に残る。」パコと魔法の絵本 マロピさんの映画レビュー(感想・評価)
あざとさだけが心に残る。
この作品のストーリーは極めて単純だ。
ミステリアスな少女と頑固じじい。
この二人を軸に心の交流を描きつつ、交わることの無い線がいかにして交わり客を泣かせるか。これに尽きる。
そこにたどり着くまでに用意した小道具がとっぴな色彩の衣装、大げさな演技。
スクリーン上で客に絵本を読ませるような形式は珍しかったが、あくまで変化球。
まず、作品を通して感じたことが「なんともあざとい」。
いかにもな衣装と、ちょっとどころかまったく持って笑えないギャグ?
一時期もてはやされた邦画のアンダーグラウンドな香りが漂う雰囲気。
どれもが計算が透けて見える。
特に序盤が酷い。
上映開始の30分はただ苦痛だ。グダグダグダグダ。
まったく笑えぬドタバタギャグの連続のため、危うく「停止」ボタンに手がかかった。
ファンタジーの面白さと言うのはその世界観に浸ったり、まるでその世界にいるかのような錯覚を体感し、カタルシスを得ることであろうと思っている。
「アバター」の大ヒットはそこらへんに出色のものがあったわけだし、「指輪物語」シリーズも「SW]シリーズもそう。
共感できる何かがあってこそ客は繋がることができるのに、この作品にはそれがない。
有名原作モノであればいくらかそのあたりは端折れるのだろうが、この作品は違う。
だから製作サイドのあざとさだけが際立って見える。
「どう?面白いでしょ」と目の前で言われ続けられてるみたいで本当に不快。
ラストもいかにもな感じであり、残念ながら予定調和のお涙頂戴はただただ単純なだけであった。
個人的にはがっかりな作品となりました。
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