劇場公開日 2008年7月19日

「やっぱり波の描写すごい」崖の上のポニョ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 やっぱり波の描写すごい

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

快活なファンタジー映画ではあるが、「なんか怖い」という感想もよく聞く本作。それもよくわかるのだけど、個人的には一周回って素直に楽しむのもいいのではないかと思っている。
作中では明言されていないが、都市伝説的に、津波の後の、水没した町は死後の世界ではないかと言われることがある。そう解釈してもいいんだろうけど、ファンタジーなので何が起きてもおかしくないものなので、水の生物と人の共存できる世界塗り替わった、みたいに思っている。死後の世界かもしれないが、少なくともそこは悲壮的な世界じゃない、海の世界の生命力への素直な驚きみたいなものがあって楽しい。
なにより、圧巻なのが津波のシーンの作画表現。津波の上を走るポニョの走りの作画もすごいし、生き物のようにうねる津波もすごい。宮崎アニメの魅力は常に、生命力にあふれるアニメーションの魔法にあるが、本作でそれを一番実感できるのが津波のシーン。あのシーンだけでもお金を払う価値がある。

杉本穂高