「職人仕事が冴えわたり、娯楽の王道を行くポリティカルスリラー」消されたヘッドライン 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
職人仕事が冴えわたり、娯楽の王道を行くポリティカルスリラー
オスカー受賞監督でありながらあまりにも過小評価ではないかと常々思っているケヴィン・マクドナルド作品の中でも、職人的な上手さが炸裂しているハリウッド的エンタメスリラーの傑作(マクドナルドは英国人だけど)。ラッセル・クロウ演じるやさぐれベテラン記者が、政治家で友人でもあるベン・アフレック(ちゃんと嘘くさくていい!)と対峙することになるストーリーで、ジャーナリズムと政治の関係をとても面白く扱っている。演技巧者をそろえた適材適所の群像劇、名撮影監督ロドリゴ・プリエトの夜を巧みに使った映像など、全パートのバランスの良さも秀逸で、ウェルメイドすぎるから作品としてあまり評価されていないのかしらと勘ぐってしまうほど。またBBCのミニシリーズのリメイクであることも過小評価に繋がっているように思うのだが、関わったすべての人たちが高水準の仕事をしてみせたからこそのハイクオリティが堪能できる。
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