「幻想か悪魔の仕業か?前半は難解なストーリーに苦しみつつも、渋いハードボイルドの世界を堪能し、派手なガンファイトの連続に興奮しました。」マックス・ペイン 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
幻想か悪魔の仕業か?前半は難解なストーリーに苦しみつつも、渋いハードボイルドの世界を堪能し、派手なガンファイトの連続に興奮しました。
冒頭主人公のマックスは深い凍った海のなかで、今にも命を落とそうとしています。主人公が冒頭に死んでしまうなんて・・・。
前半は、説明抜きにマックスが追っていく殺人事件の手がかりとなる人物が次々に殺されていきます。おまけにどう見ても殺しているのは、黒い羽の魔物。そしてそれをビルの屋上からにたにたと見つめる不気味な刺青の男。単なるハードボイルドかと見ていたら、もしやホラーかと思いました。
加えてマックス自体も、何かくらい過去を背負っているのか無口で、ニヒルです。彼が刑事から左遷されても追い続ける怨念とは何かすら明かされません。
ストーリーがやっと見えてくる後半になって、何を描こうとしているのか何とか掴めました。1回見ただけではよく分からないかもしれません。
それは本作がゲーム由来の、幻覚・幻影の脳内ビジュアルと現実世界とのアクションが渾然一体となった世界観を持っていることと無関係ではなさそうです。どこまでが幻影なのか、よく分からないところが、本作を難しくしているのだと思います。
但しガンファイトは素晴らしい。全編の随所で派手な銃撃戦が散りばめられています。目の肥えたアメリカの観客を驚嘆させたというのは、掛け値なく本物でしょう。特に大多数の傭兵軍団に包囲されても、たった一人で切り抜けていくところは迫力満天。この手のガンファイトが好きな方には、たっぷり堪能させてくれます。
特に新たに導入されたスローモーション・カメラの映像は斬新。一発の銃弾が繰り出す登場人物達の表情の一瞬を、見事に連続ショットで表現していました。
その時見せるマックスののけぞり打ちも見事。フィギアスケート流に言えば、イナバウアー打ちといえるでしょうか。決めてますね。でもね、背後の敵を把握したのか、都合良すぎじゃあありませんか?
但し、どんなクライシスで銃弾が貫通しても、絶対に主人公は死なないという鉄則をキープしています。では、なぜ冒頭に死んでしまうところから始めているのか、矛盾していますね。 そこでキーとなるのが本作の陰謀の主役となっている精神薬。戦場で士気を鼓舞させるこの薬は、極寒の氷の海でも有効でした。その効き目の恐ろしさとパワーが一つの見せ場になっています。
マーク・ウォールバーグは復讐に燃えるマックスを好演。家族を惨殺された男の哀愁をたっぷり滲ませて、男心をくすぐります。
これから見る質問点としては、黒い羽の怪物は幻想なのか魔物なのかよく分かりませんでした。前半のバラバラ殺人をやった犯人はどっちなんでしょう?
またプリズンブレイクのスクレのファンの人は、ジャック・ピレノが敵キャラのボス格で出演しているので要チェックです。
なお、本編のエンドマーク最後には、続編に繋がる重要なワンシーンが残されていますので、席をお立ちにならないように。