「そつのない佳作」サブウェイ123 激突 かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
そつのない佳作
自ブログより抜粋で。
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知る人ぞ知る往年の傑作『サブウェイ・パニック』(1974年、監督:ジョセフ・サージェント)のリメイクらしいのですが、筆者はこの映画を未見です。
古い映画のリメイクだと言われると、確かにパソコンのビデオチャットや携帯電話といった小道具が登場しても、後付けの今風という印象はある。
また昨今の、裏の裏のさらに裏をかくような懲りすぎる展開に慣れてしまった目で観ると内容も真っ向勝負の直球で、もの足りないというか、なんとなく懐かしさを感じるのもそういうことだからだろう。
古めかしさが漂うとはいっても、映画自体はこれぞ王道という感じで、普通に面白かった。
展開自体に目新しさは感じないのだが、トニー・スコット監督らしいスタイリッシュな映像のオープニングで、犯行グループが地下鉄を乗っ取るまでを一気に見せ、対する地下鉄職員ガーバーの人となりや職場での微妙な立ち位置もさりげなく紹介。無駄なくそつなく、あっという間に舞台が整う手際の良さはまさに職人技。
家族思いの地下鉄職員ガーバーを名優デンゼル・ワシントンが好演しているが、鼻持ちならないハイジャック犯ライダーを演じたジョン・トラボルタの鬼気迫る演技も強烈。
この二人に限らず男臭い俳優陣が火花を散らす演技合戦が小気味よく、比較的地味な内容ながらも観客をラストまで飽きさせない。
ところどころ偶然に頼った展開に気になる点もあったが、まあこういう娯楽作では許せる範囲。満足感はほどほど満たしてくれる堅実な佳作でした。
ただ、ガーバーにしてもライダーしても、見終わってもはっきりしない背景が残る。
自分はこういう曖昧な終わり方も嫌いじゃないので気にしないが、その微妙に釈然としない点をストレスに感じる人には評価が下がってしまうかも。