劇場公開日 2010年6月4日

  • 予告編を見る

「血の繋がりの不思議を感じる」マイ・ブラザー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5血の繋がりの不思議を感じる

2010年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

この作品が持つテーマはふたつ。
ひとつは、アメリカの軍事行動によるアメリカ自身への爪痕。それは、とりもなおさず個人・家族に対して深く残るということ。
もう一点は、人が人を評価することの傲慢さ。
人を評することも養護することも、それは、優位性を持つ者、あるいはそれを装う者がとる行動だ。優秀だった兄も戦場で心に傷を持ち、不出来と言われ続けた弟と立場が逆転する。次男を軽視してきた父親もまた、息子たちを見る目が変わっていく。父親にとって、以前は長男が自分と同じ側にいたが、今度は次男が自分側の人間に見えるからだ。けっきょく、傲りとエゴでしかないことを教えられる。
ふたつのテーマを並行させて、産まれたときから一緒だった兄弟にしか分からない、嫉妬と羨望、そして情愛を浮き彫りにする。あらためて兄弟というものを語られると、血の繋がりの不思議を感じる。
ストーリーを進行していく上で、重要な位置に幼い姉妹を置き、とりわけ姉の心理を巧くついた脚本だが、それを難なく演じた子役ベイリー・マディソンは並み居る名優達を喰っている。

マスター@だんだん