「タイトルなし(ネタバレ)」夜顔 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
パリのコンサート会場。
アンリ(ミシェル・ピコリ)は、ある女性(ビュル・オジエ)を見かける。
彼女の名はセヴリーヌ。
かつての友人の妻で、今は未亡人。
コンサート終了後、アンリはセヴリーヌを追いかけるが・・・
といった物語で、ブニュエル『昼顔』の後日譚。
『昼顔』は40年ほど前に観たきり。
細部は忘れていましたが、本作中で、バーテンダーに対してアンリがいきさつを語るので、観ていなくても忘れていても大丈夫なつくりになっています。
さてセヴリーヌをつけ回したアンリは、運よく彼女を捕まえることが出来、ディナーをともにする。
そこで、彼は奥底のサディズムを静かに静かに発揮する・・・
ディナーのカメラポジションが秀逸で、最初は窓を奥にして左にアンリの席、右にセヴリーヌの席。
この時は、まだセヴリーヌは到着していない。
彼女が着席した後、カメラは窓を背にするポジションに切り替えられ、右にアンリ、左にセヴリーヌとなる。
その後、会話が進むにしたがって、カメラはセヴリーヌの後ろ側になり、カットバック。
クライマックスで、再び窓を奥にするポジションとなり、カメラは時計回りで一周した形。
これは、過去にアンリがセヴリーヌに弄ばれたことの意趣返し、主客転倒の暗喩なのだろうが、そんなことに気づかなくても、クライマックス、カメラが元のポジションに戻った際の暗闇や?燭の炎の美しさを堪能すればいいでしょう。
何本かある蝋燭の火が消えるまでの長いワンショット。
見事。
(撮影は、サビーヌ・ランスランとフランシスコ・オリヴェイラ)。
唐突にドアの外、廊下に現れる鶏のショッキングさなど、一種のスリラーとして観て、楽しみました。