「迷子たちの誇り。」迷子の警察音楽隊 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
迷子たちの誇り。
実は、どうしても、どうしても、観たい作品だった。
まさかと思ったけど!?それが地元のシネコンにやってきた。
うっそー。でも嬉しくて仕方なかった。。早速!!と思いきや、
二週間の限定上映。頑張ってスケジュールを錬るも時間が合わず
もうダメか??と思った最終日に、ついにその願いが叶った♪
…やっぱり映画の神が味方になってくれた!と感じた瞬間。(爆)
カンヌ映画祭「ある視点」部門で“一目惚れ”賞を、
昨年度東京国際映画祭で最優秀のサクラグランプリを受賞した作品。
長年、敵対関係にあったというエジプト人とイスラエル人の
たった一夜の夢のような物語ではあるけど、いたってシンプルな話。
取り立てて説明もなければ、もちろん仰々しい演出もない。
エジプトの警察音楽隊が、招かれてイスラエルに演奏に来たものの、
降りる街を間違えて迷子に。そこで一晩だけ親切な食堂の女主人の
世話になるという話。本当にそれだけなのだ。(爆)
ところがこれが素晴らしく素敵で、私も一目惚れしてしまった^m^
なにはともあれ、誇り高き団長役・サッソン・ガーベイである。
彼以外にこんな役は出来ないだろう~♪ピタリとハマっている。
こんな奴について行きたくない!と誰もが思う頑固親父だけど、
彼にもいろんなドラマがあったのだ。
それをサラリと女主人に語らせ、ほのかな感情を芽生えさせるも、
彼はやっぱり団長だった^^;親父には団員を引率する責任がある。
どこまでも頑固で意気地のない彼が、小さく小さく手を振る姿が
なんとチャーミングなことか♪
彼と何かと対立するイケメン団員・サーレフ・バクリも素晴らしい。
ナンパ師の彼が、迷い込んだイスラエルでは誰一人モノにできず^^;
ひいては知り合いになった男の子の恋愛指南をするハメに!?
他の団員達も、どんな難事に巻き込まれてもジーっとして動かない。
呆気にとられ吹き出してしまうような「間」がとにかく絶妙なのだ。
どんなにトホホ…な状況でも、常に温かく彼らを見守る視線が
最初から最後まで徹底しているのに、泣かせようとする演出はない。
彼らのいた両国のバックグラウンドを知れば知るほど、この作品が
興味深くなり、冒頭の語り「過去にエジプトの音楽隊が来たが、
それほど大したことではなかった。」の真意が分かってジーンとする。
やっとのことで、彼らの演奏が聴けるラストまで(爆)
彼らと一緒にジーっと身構えながら、心はどんどん温まっていく。
名優オマー・シャリフやファテン・ハママの名を聞けたのも、
名曲“サマー・タイム”“マイ・ファニー・バレンタイン”が
口ずさめたのも、人の心には何の国境もないことを教えてくれる。
(今もアラブ系イスラエル人は苦労しているそうだ。希望を開こう!)