「絶望と希望を同時に味わえるどんでん返し」ミスト かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
絶望と希望を同時に味わえるどんでん返し
絶望と希望を同時に味わえるどんでん返し。ラストの余韻に打ちのめされた。その余韻に包まれてるうちに感想を書く。怖かったポイントは3つある。
1つめは、狂信者ミセスが信者を増やしていくこと。
とにかく終始ミセスがうざかった。この映画で1番キライなキャラ。胡散臭いことペチャクチャずっと喋ってるし。「こんなん信じる人居ないっしょ笑」と思ってたけど、終盤にはミセスを信じる人がわんさか増えててビックリ!しかも絶対信じないと思ってた、ビリーまで加わってたし。
人はピンチの時、なにかに縋りたくなるだろうか。精神状態が不安の時に、口がうまい人現れたら崇拝しちゃうのかな...恐ろしい。自分は神とか宗教とか信じないけど、極限状態になったらどうなるか分からない。今は「神とか胡散くせぇ!見えるもんしか信じねぇ!」と思ってるけど、「ああ...神よお救いください」とか言ってるの想像するとシュールだ。
デビット達がミセスの信者たちに囲まれた時、絶体絶命の時にオリーが銃ぶっ放してくれたのは気持ちかった!ミセスクリーチャー撃って倒した時より爽快だった。よくやった、射撃の名手オリー!
2つめは、虫のクリーチャーが気持ち悪いこと。
もうね、俺は虫ダイッッッキライ!家に蜘蛛一匹出ただけで跳ね上がり、殺虫剤持って全力で殺しにかかるくらい。
だから、ハエと蜘蛛のクリーチャーは目を背けたくなった。しかも巨大化してるから、足とか口とか細部がハッキリ見えるし気色悪い。モゴモゴ動くのやめてください。エイリアンと虫の組み合わせは反則ですね。
特にヤバかったのは体内から小さい蜘蛛が大量に出てくるシーン。蜘蛛嫌いの俺からしたら失神レベル。自分の身体中に蜘蛛がびっしり纏わりついてるのを想像して寒気がした。もし俺があの薬屋に居たら速攻で死ぬ自信ある。
3つめは、主人公が絶望に叩き落とされる、救いようのないラスト。
あと少し待てば全員救えたのに...こんなに悔しい気持ちになったラストは初めて。もう助からないと諦めて、女、子供、老人を殺すハメになったデビットが悲しすぎる。特に自分の子供を撃つときの心情を考えると痛い。いくら「怪物には殺させない」という約束があれど、自分だったら撃てないだろうな。自分の子供に銃口を向けるなんて考えられない。
そもそも全ての元凶はあの銃なのでは?車出す時にデビットが銃を取らなければ...オリーが弾を使い切ってれば...もっと言えばアマンダが銃を持ってなければ...んー考えだしたらキリがないか。
デビットからしたら超絶バッドエンドだけど、軍隊が制圧してくれたから世界的にはハッピーエンドだよね。狂信者の言う通り店で待ってたら、助かってたと思うとモヤモヤする。とにかく世界は平和を取りもどした訳だけど、デビットからしたら地獄だよね。家族全員失ったし、あの後デビットはもぬけの殻になって生きる気力を無くしたと思う。ほんとに可哀想すぎる、俺だったら自害したくなるね。
後味悪い映画が好きな方はぜひ観てほしい。ただ後味悪いだけじゃなく、ハッピー要素も添えられてるのがポイント。希望部分がなかったらとんでもないムナクソ映画で評価かわったと思う。バッドエンド、ハッピーエンド、いっぺんに味わえる貴重な映画だ。