「悪趣味」ミスト かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
悪趣味
自ブログより抜粋で。
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話題作『クローバーフィールド/HAKAISHA』に設定が似ていて、主観映像ではないもののドキュメンタリータッチの手持ち撮影が多いのも演出の方向性が同じことを示している。
しかし、映画としての深みはこちらが遙かに上。この『ミスト』を観ると『クローバーフィールド/HAKAISHA』がいかにうわべだけの映画かよくわかる。
極限まで追い詰められた人間の恐ろしさを描いたなんて謳い文句は珍しくもないが、この映画での追い込み方は半端ない。
そういう意味では満点をあげていい。ほんとによくできてる。
ただここまで褒めておいてなんだが、この映画を好きかと訊ねられたら躊躇無く嫌いと答える。
誰が好き好んでこんな救いのない映画観たいと思うか。ただ、この映画の場合はそれすらも褒め言葉になってしまうのだが。
映像製作に携わる端くれとして、ここまでの絶望を突きつけられると、こんな“悪趣味な”作品を商業映画として大々的に公開していいものかと懐疑的になってしまう。
映画としての質が高いのは認める。だが、この作品はレンタルDVD屋さんの片隅で、マニアックなホラー作品などと並んでひっそりと置かれている、隠れた名作的な扱いにとどめておいた方がいいように思うのだ。
後味の悪い映画として後世まで語り継がれる映画史に残る作品には違いないとは思うので、一応、一見の価値はあると言っておく。
ただ精神的にかなりくる結末なので、体調&精神状態の良好なときに、相応の覚悟で臨んでください。
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