「B級ホラーの傑作」ミスト だいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
B級ホラーの傑作
スティーブン・キング原作、フランク・ダラボン監督のホラー映画です。
突然、正体不明の霧(ミスト)に襲われたアメリカの田舎町。
主人公をはじめとする人々はスーパーマーケットの中に閉じ込められてしまいます。霧の中にうごめく何かに怯え、精神的に追い詰められた町の住人達は、団結してこの危機を乗り越えることが出来るんでしょうか?
今まで、スティーブン・キング原作のホラー映画は沢山観ましたけど、その中でもトップクラスの作品だと思います。ただ怖いだけのホラーと違い、人間の心の闇の部分に迫った内容で、僕の好みのど真ん中でした(笑)
霧の中にうごめいている「怪物」が出て来た時には、正直『また、このパターンか。』と思ったんですけど、「怪物」が出てきて次々と登場人物が餌食になったり、グロいシーンがあったりとホラー映画のお約束をキッチリと盛り込みながら、その一方で、恐怖で徐々に精神的におかしくなっていく人々の怖さも描いていて、『遊星からの物体X』を思い出しました(冒頭でポスターが出てきてましたけど(笑))。
特に、狂信的に神の教えを説く女性が段々と人々の心を掴んでいく所は、「怪物」以上に怖かったですね。
そして、何と言っても「ラスト15分」。
希望を求めてスーパーマーケットを離れ、霧の中を進んでいく主人公を待っていた運命は、あまりにも救いが無いです・・・。
原作の結末とは違うらしいんですが、さすがに観終わったあとは軽く凹みました(苦笑)。
主人公の後悔の叫び声と共に暗転、そして、レクイエムのような歌が流れ、後は、軍のジープのエンジン音とヘリコプターの爆音のみ・・・。
あの、なんとも言えない余韻が残るエンドロールも含めて、この映画は、ホラー映画の枠を超えた名作だと思います。