劇場公開日 2007年12月22日

「戦時中、日本軍はゾンビ兵計画を企てていた?」魍魎の匣 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦時中、日本軍はゾンビ兵計画を企てていた?

2021年1月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 シネコンのグッズコーナーに京極夏彦の原作本があった。ぶ、分厚い!文庫本で千円超えですか・・・これを2時間余にまとめるのは大変なんだろうな、と思いながら、京極堂シリーズ映画化第2弾を鑑賞。原作はもちろん未読(というか、京極夏彦作品をひとつも読んでない)のため、思い入れがない分、存分に楽しめました。

 実相寺昭雄監督による映画化第1弾『姑獲鳥の夏』では映像が斜めになっていたおかげで三半規管に異常をきたしましたが、原田眞人監督による今作はそうしたギミックもなく、むしろ中国ロケなどで普通の映画のように金をかけた部分に酔いしれてしまいます。1952年の日本を表現するには中国か~などと、エンドロールを見てビックリしました。CGだとか大がかりなセットではなく・・・発想の転換ってのはこうやって活かすものなのですね。もちろん美馬坂研究所の外観でCGを使い、内部は大がかりなセットでしたが、このバランスもなかなかのもの。

 ストーリーとしては、観客に推理する暇を与えないほど、いささか急展開すぎる箇所もあるものの、猟奇性を損なわずに緊張感を与えてくれました。映画女優(黒木瞳)の娘加菜子はどうなるのか、頼子(谷村美月)はクドカンに連れ去られてどうなったのか?などと、隠れ美月ファンとしてはハラハラドキドキ・・・。新興宗教“深秘御筥教”を取材し、祝詞を丸暗記するほどの才女ぶりを発揮した中禅寺敦子(田中麗奈)は狙われる美少女には含まれないのか?などと余計な心配までしてしまいます・・・やはり10代の娘じゃなきゃダメなのか・・・

 京極堂の堤真一、榎木津の阿部寛、関口の椎名桔平の3人が息も合っていて、とても楽しそうでした。だけど、誰が主役なのかさっぱりわかりません。もしかすると木場刑事(宮迫博之)が主役だったのか。その木場が観ていた映画も面白かったし、『第三の男』にこだわってるところも良かった。事件が解決(?)した後に関口が書いた『めまい』はさすがにヒッチコックとは関係ないだろうけど、思わぬところで『ジョニーは戦場へ行った』へのオマージュが・・・(違うと思う)・・・

【2007年12月映画館にて】

kossy