「問題提起映画」大いなる陰謀 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
問題提起映画
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現状のアメリカの若者の政治的無関心にマイケル・ムーア流とは違った知的なアプローチで一石を投じたかったのでしょう、レッドフォードが製作・監督・出演と大変な思い入れです。
ただ、邦題の「大いなる陰謀」や豪華出演陣から壮大なポリティカル・サスペンスを想像しましたが混迷の現代社会に対する問題提起を行う会話劇、答えは皆さんで考えてくださいという結末ですので映画化の意義は別として、楽しめる部類の映画ではありません。
9.11を契機としホワイトハウスとメディアが起こしたイラク戦争を背景として、形骸化したジャーナリズム、相も変わらず国威高揚を唱える共和党の若き上院議員、若者の政治離れに悩む政治学の教授の熱意が仇になる様などがシニカルに描かれる。
原題のLions for Lambsは「臆病な子羊に操られるライオンは恐れるに足らない」と言ったアレキサンダー大王の格言から派生しているのだろう、上院議員の部屋にはセオドア・ルーズベルトの「平和と正義を選ぶなら私は迷わず正義をとる」といった書が飾られていた、歴史は勝者によって書き換えられるものでもある、今更ながら難問を突きつけられてしまった映画でした。
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