劇場公開日 2007年11月17日

「正義の正体」君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5正義の正体

2023年6月14日
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 恐ろしくドライな仕上がりです。動乱の戦時下の愛を描くと、雑誌に紹介されていました。たまには恋愛映画も観なくちゃ、と、選択したのがこの映画。この段階で、私の選択眼に問題があることが、証明されますね。恋愛映画のつもりで観た映画は、トンデモ殺戮映画でした。しかも、スーパードライなテイスト。
 大義さえあれば、ヒトはヒトを殺します。何の恨みもない人も、平気で殺害します。慣れてくると、犬を撃つほうが、躊躇いを感じるようになるとの証言があるくらいです。それがヒト。(詳細は「戦場でワルツを」をどうぞ。)
 しかし、ヒトの正義って何ですかね。自分の正義の為なら、他者の殺生与奪には無関心。正義ひとつあれば、ヒトは何も感じなくなる。何も考えなくなる。正義とは、ヒトを思考停止にさせる劇薬ですね。
 事件から半世紀以上、映画公開から10年以上経ちますが、未だに凍てつく大地には、正義を乱発する大統領が棲息していますしね。
 そんなヒトの性(さが)を、私はこの恋愛映画で学びました。同時に、ヒトは予期せぬタイミングで、予期せぬものを見せつけられると、トラウマ級に印象が残ることも学びました。私が、狂ったように映画館通いをするきっかけを作った、罪深き名作です。
 驚くほど「光州・5 18」と同じ展開です。ただ演出が驚くほど真逆。悲しすぎて、涙も出ません。同情するなら、銃をくれ!、レベルで心も渇きます。爽快感の欠片もない、ハイパードライな後味が、皆様をお待ちしております。

 海の向こうの反抗作戦ですが、奪還された地域があるようです。敵方に協力したヒト達(詳細は「ドンバス」をご覧下さい。)は、売国奴と呼ばれ、ヒト狩りのターゲットになることでしょう。

 この映画と同じように…。

 私達は、進化していますか?。

機動戦士・チャングム