親密すぎるうちあけ話のレビュー・感想・評価
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「それでも」という屈折した前進させる力
2004年フランス映画。104分。今年43本目の作品。長編映画の引退宣言をしたといわれる映画作りの名手にして、個人的には世界最高の監督の1人であるパトリス・ルコント監督の作品。となると本作は引退から2作前の作品ということになります。
内容は;
1,精神セラピーで訪れた女性は、部屋を間違え、会計士の部屋になにも気づかないまま入ってしまう。
2,会計士の男は、(女が部屋を間違えているという)本当のことを知らせないまま、彼女の話を聞く。
3、彼女は途中で事実を知るが、それでも会計士の部屋に「セラピー」で訪れ続ける。
ルコント監督の作品のほとんどすべてを観てくると、この人が描く男女のテーマには「つかず離れずな関係」があることに気づきます。ルコントの作品にかならず出てくる男と女は、お互いになくてはならない存在にはなるが、しかし何らかの力が働いて絶対に交わることがない。この屈折した力が、彼のすべての作品においてドラマを動かす原動力になります。
本作品の場合のその「屈折した力」とは何なのだろう。語彙が不足しているわたくしには、それが何なのかわかりません。それはひょっとしたら、(2人を結びつけないのは、)お互いに人生を知りすぎてしまったがゆえの臆病さかもしれないし、はたまた、それまでの絆を壊してしまうが故の畏怖の念なのかもしれない。
それでもいずれにせよ、
本作品の、この男と女の関係は不純なまでにプラトニックである(それ故に、性愛と友情という相対するテーマの奥にある「それでも」と2人を結びつける力が浮き彫りになる)。このレトリカルな命題こそが、本作品の(そしてルコントの他作品の)肝にあたるものです。
濃密にして華麗な男女の友情を扱った至高の作品です。
ルコント監督がもう作品を撮らないのが寂しくてなりません。
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