劇場公開日 2006年3月18日

「純粋な愛の作品」変態村 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0純粋な愛の作品

2022年6月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

畜生道に陥った者たちの狂気なる性愛の果てに余りにも美しく生じた純粋な愛をモノにした素晴らしい作品。泥沼に咲く蓮の花を映像化した稀有な内容。キワモノでしかないタイトルに惹かれて鑑賞したが、とんでもない素晴らしい作品に出くわしたこの喜びは宝くじにでも当たった気分だ。原題はラテン語による「ゴルゴダの丘」である。まさしく、救いの作品であったのだ。それぞれの肉体的な、精神的な受難を経て辿り着く救い。最後の主人公マルクの台詞がとても美しく胸に響く。確かに作品の作り方があまりにも狂気染みて、強烈過ぎるのもあって、エンディングまで辿り着くのが困難ではあるが、これほどの美しい作品に巡り合えることはなかなか無い。まさに肥溜めの底に沈む黄金を掬い上げるような稀有な鑑賞体験だった。目を背けることなく、しっかりと鑑賞して欲しい。その比類ない美しさを感じたときの開放感、清々しさは、一瞬かもしれないが万能な肯定感に包まれる陶酔を与えてくれる。

shanti