劇場公開日 2006年3月18日

ラストデイズのレビュー・感想・評価

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3.5引っ張られる(※追記あり)

2025年2月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

大槻ケンヂは若くして死んだカート・コバーンを「あいつはバカだ」と言っていた。神格化される彼の死を冷めた目で見ていた彼らしい見解である。そして大槻ケンヂは「生きていくだけだろ?」と歌い続ける。著書でも「死んだら伝説、狂えばカリスマ、生き残ったらただのおっさん。しかし、生きてる奴の勝ちだ。」と書いてある。なるほどと思う。

さて、カート・コバーンは私がロックにはまった時にはすでに亡くなっていました。なので特に思い入れはありませんし、なんならニルヴァーナの曲は「スメルズ…」と「リチウム」以外全く好きになれず、むしろ嫌いな部類の音楽でした。しかし、なぜか鬱の時は無性にニルヴァーナを聴きたくなる。ぶっちゃけ歌詞なんか聴いちゃいないのですが、不思議と「死」に引っ張られる音楽なのです。少なくとも私にとってはニルヴァーナ、カート・コバーンとはそんな存在でした。

鬱の時にだけ寄り添ってくれる(悪い意味で)変な音楽。なぜだろう?カート・コバーンの死が関係しているのだろうか?本作「ラストデイズ」を観れば何かわかるだろうか?……長々と書きましたが鑑賞動機はそんなとこです。

結果、観たことを少し後悔しています。ニルヴァーナの音楽同様、「死」に引っ張られる作品。せっかく最近ハッピーな感じだったのに勘弁してほしい(自分で勝手に観といて何言ってんすかね…)。ニルヴァーナを聴いて死を意識するやつなんて私しかいないかも知れませんが、本作における鬱々とした空気はなかなかきついです。

ストーリーらしいものは皆無、ひたすらカートをモデルにした主人公がダラダラと無気力にフラフラしているばかり。唯一、弾き語りで叫ぶシーンは胸にくるものがありました。

「生きていくだけだろ?」確かにそうなんだけど、それがなかなか難しい。本作ではその生きる難しさはあまり伝わって来ませんでした。ただただ死に引っ張られていく、まさに「ラストデイズ」の様子が淡々と描かれているのみでした。

※追記
レビュー投稿した後に、初めて歌詞の和訳を読んでみたのだが、めっちゃ暗い。びっくり。学生の頃、周りでニルヴァーナを聴いていた奴らはみんなパリピみたいな奴らばっかりだったから不思議。彼らはニルヴァーナの音楽を本当に聴いていたのだろうか?おしゃれ感覚で聴いていた…というより「ニルヴァーナを聴いている自分かっこいい」と思っていただけなのではなかろうか…。まぁ、歌詞も読まずに嫌いとか言ってた私も大概だが。

※追記2
本作を視聴してからずっと「引っ張られて」いる。淡々とし過ぎてつまらない作品だが、それだけのパワーがあるということ。落ち込んでいるときに観たらやばかったかも。少し加点。

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吹雪まんじゅう

3.0【人気絶頂のなか、命を絶ったニルヴァーナのカート・コバーンをモチーフにした彼の死の前二日間を描いた陰鬱な映画。ニルヴァーナのファン(過去形ではない!)であれば、響くモノがある作品だと思う。】

2024年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■深い森の中を独り言をブツブツつぶやきながら、当てどなく散歩する若者。
 彼は麻薬の矯正施設を抜け出した、若者の間でカリスマ視されるミュージシャン・ブレイク(マイケル・ピット)。
 彼は現役の頃の自分を慕う人々がたむろする家に戻るが、時はゆっくりと終結に向かっていた。

◆感想

・名匠の粋にあるガス・ヴァン・サント監督は高校銃乱射事件を描いた「エレファント」を20年以上前に公開しているが、作品の幅がとても広い。

・今作もどこからみてもカート・コバーンにしか見えないブレイク(マイケル・ピット)の麻薬に侵された姿を只管に追っている。

■印象的なシーン

・森の中をブツブツと独り言を言いながら彷徨う様は、何とも陰鬱だが印象深い。

・後半、彼が歌う”ヴェルヴェットアンダーグラウンド”の”毛皮のビーナス”のシーンも彼の晩年の破滅的な人生を象徴するようである。

<〇坊の時代に、ニルヴァーナを聞き、一発で惹き込まれた者としては何とも陰鬱で、切ない映画である。
 美しいメロディの中、ヴァーブを利かせた名曲”Smells Like Teen Spirit"が収められた駄曲なしの超名盤”Nevermind"からの”IN UTERO"を聞いた時は、勿論名盤なのだが、カート・コバーン病んでいるんじゃないか、と思ったもんな・・。
 あの悲しき衝撃は今でも覚えている。>

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NOBU

4.0退廃的なものに魅かれる心理ってなんなのだろう

2023年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

夭折した天才ミュージシャン・カート・コバーンをモデルに、彼がショットガンで自殺するまでを描く。

ガス・ヴァン・サントらしく、余計な科白、説明、演出効果を排除した、情景と役者の演技主体の映像と音楽だけで描ききる。大胆かつ勇気ある映画作りは称賛に値する。

退廃的なものに魅かれる心理ってなんなのだろうと考える。劇中のブレイク(コバーン)の所作はいちいち危うい。椅子に座るだけの動作で数十秒を要し、なおかつ座らず、床にへたり込む。女性ものの下着を身に付け、ショットガン片手に屋敷をうろつき、ワークブーツの靴ひもが通っていないくせに、コーンフレークにミルクの量を細部にまでこだわりながら注ぎ、突然、死んだように寝る。

全世界を熱狂の渦に巻き込んだニルバーナの作品群は、こうした彼自身ののもつ、如何ともしがたい退廃・狂気と社会との「間」を埋めようと試みられた営為の副産物。

その創造をもってしてもなお、彼を社会に生かしむには至らなかった。ただ、それは悲劇なのかといえば、そうとも思えない。

非常に重要なシーンである宅録デモの場面で演奏される曲名は「Birth to Death」ではなく「Death to Birth」。ここに象徴されるように、僕らとは死生観が根底から真逆なのだからこそ、そうやって生きるべくして生きたのであろう。

タイトルもLast Day(最後の日)ではなく、Last Days(末路)。彼は最期に何を視たのだろうか。印象的な演技だった。

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えすけん

3.5ファンじゃないと、正直、つらい。

2021年12月2日
PCから投稿

カート・コバーンの最後の2日間を描いた映画。
つらいというのは、同じようなシーンが延々と続くというつらさ。
そして、物語としてのつらさ。
どこまで事実なのかは知らないが、
一緒に過ごす取り巻きが違っていたら、こういう
エンディングにならなかったんじゃないかな。

考えてみると、ファンにとっても、
とてもつらい作品なのかもしれませんね。
グッと入り込んでしまうだろうし、
自分が好きなミュージシャンがこんな最後を
迎えていたとしたら………。

ミュージシャンのエンディングをここまで
深く掘り下げた作品は、他にないかもしれません。
ガス・バン・サント監督らしい作品だとも思いました。
「エレファント」のあの重苦しい感じを
思い出すなあw

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tochi06

2.0アナタは神を信じま~すか~?

2021年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 人気絶頂のバンド、ニルヴァーナのカート・コバーンが突如自ら命を絶ったことをヒントに作った映画らしい。正直言って、ニルヴァーナはよく知らない・・・観客がいつもより多く若い人が中心だったことからも、よほど人気があったに違いない。と感じたくらいです。よって、以下は何も知らないで観た普通のおっさんの戯言と受け取ってください。

 ミュージシャンの死に様というのはショッキングなものが多い。特にロックやジャズの世界では、ヤク中になってボロボロになり若死にするパターンばかりだ。この映画でも麻薬のリハビリ施設を抜け出したという設定なので、そう珍しい死に様ではないような気がします。そんな有り触れた内容よりも、感電死したとか、殺虫剤で死んだとか、ロシアンルーレットで死んだとかいった伝説的ミュージシャンを扱ったほうが興味深いのに・・・

 この映画の主人公ブレイクは麻薬は断ち切れたようにも思えたのですが、躁鬱状態は深刻でした。彼の心までは推し量れるものではなかったけれど、別荘に住みついた彼の取り巻き達は全くの放置状態であり、「クローゼットに銃がある」とメモまで残す酷さ。孤独感から徘徊を繰り返し、突如ドラムを叩き出したりする症状の彼に対しても普段通りの接し方。「悲痛な叫び」も「普通の叫び」と捉えてしまったのかもしれません。

 しかし、そうした心情に訴える映画であっても、前半の電話帳セールスマンやモルモン教の勧誘などの描写によってゆるいギャグとしか思えない演出があり、メッセージ性も薄れてしまったのではないでしょうか。さすがはガス・ヴァン・サント監督。全てを丸投げ状態です。せめてもう少し音楽映画風にしてくれれば・・・

【2006年7月映画館にて】

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kossy

3.5安易に見ちゃいけなかった(汗)

2014年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

これほどまでに、自分がこの映画に巻き込まれるとは… うっすらと避けてきたこの映画だったが、迂闊にも観てしまった… カート・コバーンがもういないという現実を、改めて突き付けられたですよ。彼がいないことも忘れて生きている現代と自分の退屈さを突き付けられた感じですよ。この画面で表現されている感覚すべてを感じたいと求めていた自分を思い出すですよ。うーん、いかんよ、この映画は…
ボロボロのジーンズ、ジャックパーセル、ネルシャツ、そしてベルベッツ…
忘れてはいけないよ、カート・コバーンのこと…

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チャーリー