「真正面から"人間"を描いてきたダルデンヌ兄弟」ある子供 keitaさんの映画レビュー(感想・評価)
真正面から"人間"を描いてきたダルデンヌ兄弟
ダルデンヌ兄弟が描く徹底的なリアリティーのある作品から一歩踏み出した今作は初めて寓話的ドラマ性が共存していた。
とはいっても、先進国において貧困層の現実を映す姿勢は変わらず今まで通りの素晴らしい心情描写が光る。
盗みで生計を立てその日暮らしで毎日を過ごすブリュノ、本当の愛も涙も知らない彼には当然人の心など見えるはずもない。
いつも素朴なタイトルをつける彼らはその一言から観るべき視点を教えてくれる。
「ある子供」。
それは当然、冒頭から登場する赤ん坊のことを言っている。だが、その真意には心が子供であるブリュノが居ることに気付く。
ラストシーンで本当の愛に向き合い、本当の涙を流す。
真正面から"人間"を描いてきたダルデンヌ兄弟らしい美しいラストだ。
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