「反復というすばらしい演出」ある子供 Shunsuke Fushimiさんの映画レビュー(感想・評価)
反復というすばらしい演出
反復と増殖は芸術の基本であり、反復はダルデンヌ兄弟もよく使う。この映画でも反復は大いに役立っている。
『ある子供』とは赤子と少年の両方だ。赤子にした仕打ちに対して、何の呵責も責任も感じない。それは、悪意に満ちたものではなく、たんに無知なだけであり、それゆえ愚かなだけである。
一方で、少年を巻き込んでしまったこと、怖い思いをさせてしまったことに対して、呵責や責任を初めて知ることとなった。
また、頭をこすり合わせるシーンもこれに当たる。最初のシーンでは、まだ精神的にまだ子供で、気楽さという面が前面に出ていた。
しかし、最後のシーンでは、精神的に大人になり始め、気楽さは引っ込んだ。
これらは無知ではなく、自分の責任を知ったことによるものだ。
最後のシーンによって、赤子を売った重大さへと循環する。これが、反復の力である。
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