「枯れすすきのモディリアーニ対サムライ・ピカソ!」モディリアーニ 真実の愛 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
枯れすすきのモディリアーニ対サムライ・ピカソ!
芸のためなら女房も泣かす♪パリ恋しぐれのモディリアーニ。貧しさに負けた、いいえ、世間にも負けたかと思われていた枯れすすきモディリアーニとジャンヌ。現在にまで語り継がれる美術史上の衝撃的な愛の結末に涙せずにいられないほどだった・・・しかし、実際はレイトショーのため眠気を抑えることができず、あくびしたために出た涙なのか悲しいから出た涙なのかがわからなくなってしまいました。
サブタイトルにもある真実の愛。モディリアーニの描く自分の肖像画には瞳が描かれていなかったことが、ジャンヌの献身的な愛に拍車をかけたに違いない。芸術家たちの彼への想いも同じものだったのだろうか、コンテストの出品者リストに書き込まれたモディリアーニの名前が読まれたときの大きな歓声から推し量るしかないのかもしれない。あの盛り上がりは好きだ。まるで負傷した格闘家が試合に出場したかのような驚きと興奮。もし負けてしまっても、「ピカソの絵をつぶして、その上に落書きしてやるぞ!」と血気盛んな芸術家が現れそうな勢いだった。それにしてもいい男でしたよ・・・「ピカソ」というタイトルの絵を描かなかったんだから・・・
自分にしか見えないモディリアーニの幼き分身も好きだなぁ。もしかしたら、実は彼が本当のモディリアーニでしたぁ~といったオチがついてもいいかなと思っていましたし、実はピカソの分身だったんだよという予想外の展開でもかまわなかったのです。だから、大事なところで酒を飲まないでくださいよ・・・誰か止めてくださいよ、と祈るような気持ちも虚しく終り、絵の中の澄んだ瞳だけが印象に残りました。
【2005年10月映画館にて】
※美術に弱いもので、どこまでがフィクションなのかさっぱりわかりません。
cf.『モンパルナスの灯』