「ヒトラーを育み綺麗に死なせる土壌とは?」ヒトラー 最期の12日間 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒトラーを育み綺麗に死なせる土壌とは?
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ヒトラーとその取り巻きの最後の姿を、原作および史実にできるだけ忠実に、冷静に、描こうとする姿勢には好印象は持った。
ただ、実際に最後はこうであったろうが、何故多くの人間がただの狂人に見えるヒトラーに忠誠心を持ち、一緒に自死を選んだり遺体を綺麗に燃やしたりするのか、すぐには腑に落ちなかった。また、知らなかったが、ゲッベルス夫妻は6人の子供たちをも何故か道連れに自殺し、少なからずカルチャーショックも覚えた。。
ドイツ人は厳格なイメージあったが、総統地下壕の中には女性も沢山おり、ヤケクソの様な乱痴気パーティーや酒盛りを行っていたのは意外であった。また、壊れかけてきてるヒトラーと何故一緒に死にたがっているのか良くわからないところも有るが、ヒトラーの妻になるエバ・ブラウンが、吹っ切れた様な明るさに満ち、とても魅力的には思えた。女優さんの名演技ということか。
見終わって少し経ってからであるが、ドイツ人と日本人の感性が実はとても似通っているのではないかと思い始めた。ヒトラーがどれだけ現実離れしようと、彼がエンペラー、天皇的な存在と考えれば、忠誠心や後追い自死も、当然ということになろうか。何のことはない、天皇陛下万歳と死んでいく日本兵の精神と同じ感性かもしれない。
現在のドイツ人は異なるかもしれないが、映画の中のナチス将校の様に、市民にとって良い悪いではなく、お上の意向を第一に行動する日本人社会には、独裁者を育む土壌が以前として綿々と存在するのかもしれない。
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