劇場公開日 2004年10月30日

「アメリカ伝統の七面鳥料理と中国人による七面鳥料理の対決」エイプリルの七面鳥 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカ伝統の七面鳥料理と中国人による七面鳥料理の対決

2018年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

と、そんな映画ではないが、食欲をそそられる内容だった。

 いかにもスラム街という雰囲気にあるアパートで暮らすエイプリルと恋人ボビー。それまでは近所付き合いも疎遠となっていたが、オーブンの故障に気付き、家族が到着する前に何とか七面鳥の調理を間に合わせるため、オーブンの調達に奔放するエイプリルだった。お母さんが末期癌であることを告げると同情してくれ、様々な料理の知識を授けてくれる黒人夫妻や、英語が全く通じない中国人家族。七面鳥を母に味わってもらうのは最後になってしまうかもしれないので必死になる彼女は、今まで気付かなかった近所の人たちの暖かい心にも触れることができた。 こうして自分の今やっていることが人生で初めて家族へ愛情を注いでいることや、不良だった自分を反省し始めたということが、エイプリルの演技力によりビシビシと伝わってくるのです。母役のパトリシア・クラークソンが色々と賞を獲っていますが、エイプリル(ケイティ・ホームズ)の方が圧倒的に上手いと思いますよ。

 一方、エイプリル宅へ向かう家族はロード・ムービー風味になっています。ここではボケが始まってる祖母がナイス!お父さん(オリヴァー・プラット)も、どことなくジャック・ブラックに似ていていい味出してます。太った脇役ではよく使われているようですね。

 ストーリーは単純なのにこれほど観客を惹きつける理由は、アパートという密室劇とロードムービーのコントラストが面白い点、それにラストでの説明不要の家族の絆。わざと粗く編集してあるとも思われるところが素敵なのです。アパートの住人の個性的なところ、上記した以外ではウェイン(ショーン・ヘイズ)というオタク系で犬好きの男が受けました。また、演技力のあるお母さんの心の変化が読めるところが面白い。最終的にはトイレの少女が・・・

 観終わった後には何だか暖かくなって、家族へ何かサービスしたくなるような映画です

kossy