エイプリルの七面鳥

劇場公開日:

解説

娘と母の和解を軸に、家族の再生を描いた心暖まる感動ドラマ。監督は、「ギルバート・グレイプ」「アバウト・ア・ボーイ」の脚本家として知られるピーター・ヘッジズ。NYのリアルなストリート感覚をスパイスに、生と死をまっすぐにみつめながらも、ユーモアを忘れないあたたかい作品を作り上げた。主演は「鬼教師ミセス・ティングル」の若手女優ケイティ・ホームズ。母役のパトリシア・クラークソンはアカデミー助演女優賞ノミネートほか、様々な映画賞で受賞した。

2003年製作/80分/アメリカ
原題:Pieces of April
配給:ギャガ
劇場公開日:2004年10月30日

ストーリー

アメリカ中のキッチンで、七面鳥が主役になる感謝祭の日。ニューヨークで恋人のボビー(デレク・ルーク)と暮らすエイプリル(ケイティ・ホームズ)は、生まれて初めての料理と格闘していた。郊外に住むもう何年も会っていない家族をディナーに招待したのだ。仲の悪い母親が、ガンのために余命わずかと知ったエイプリルは、人生最大の勇気を振り絞って母の好きな七面鳥のローストを作ろうと決意する。ボビーが、「今日のために用事がある」とどこかへ出かけ、エイプリルが手作りのネームカードを用意している頃、父ジム・バーンズ(オリバー・プラット)が運転する車は、母ジョーイ(パトリシア・クラークソン)と妹のベス(アリソン・ピル)、弟のティミー(ジョン・ギャラガー・ジュニア)と祖母のドッティ(アリス・ドゥルモンド)を乗せて、ニューヨークへ向かっていた。ジムは、家族全員がそろう最後の晩餐を、絶対いい思い出にすると意気込んでいるが、ジョーイは投げやりな態度、ベスはすぐにでも引き返したい思いを抑えるのがやっと、ドッティにいたっては家族の名前さえ思い出せない。ティミーは深刻さから逃れるようにふざけながら、得意のカメラでみんなを撮る。彼はジョーイの“人生の記録係”なのだ。エイプリルは“ママ”と書いたカードを破り、“ジョーイ”と書き直していた。七面鳥をオーブンに入れようとしたまさにその時、エイプリルは一大事に気づく。予熱したはずのオーブンが冷たいままだ。管理人は留守、修理の電話もつながらない。エイプリルはアパート中のドアを叩き、やっと招き入れてもらう。母の病気の話にもらい泣きしたイベット(リリアス・ホワイト)が、「料理を手伝うからオーブンを貸してくれる人を探しなさい」と言ってくれる。エイプリルは再びアパート中を駆け回る。果たして、オーブンは見つかるのか? その頃ボビーは、友達の経営する服屋で困っていた。スーツを貸してもらう約束が、趣味の悪い古着しかないのだ。一方エイプリルは、ついにオーブンを見つけた! しかし、最新式のオーブンの持ち主ウェイン(ショーン・ヘイズ)は極めつきの変わり者。途中で焼け具合を見ろという彼の忠告を聞き流したエイプリルに怒って、部屋に入れてくれない。しかも何とか取りもどした七面鳥は、まだ半ナマだった…。バーンズ家の車の中でも事件が勃発。ジョーイとエイプリルの“唯一の美しい思い出”が、ジョーイの勘違いで実はベスだったと発覚。「うんざりよ! ガンもあの子のせいよ」と吐き捨てて、ヒッチハイクで帰ろうとするジョーイ。ナマ焼けの七面鳥の皿の前で、途方に暮れるエイプリル。助手席のジョーイの頬に触れ、眠っているだけだと知って安堵の涙を流すジム。母親に叱られる少女に、幼い頃のエイプリルを重ねるジョーイ。彼らの感謝祭は、いったいどうなってしまうのか。

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映画レビュー

3.5ダメな人間ほど愛おしい事ってあるよね。 エイプリルが母親を喜ばせる...

2023年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ダメな人間ほど愛おしい事ってあるよね。
エイプリルが母親を喜ばせるために、
七面鳥を作るのに周囲の人間巻き込んで
必死になる姿、
最後はほっこりする良い映画でした。

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あとぅーし

5.0最高バランスのすったもんだとほっこり

2020年7月11日
PCから投稿

映画の思い出を入れておく引出しには忘れない小品の一区画がある。
こんにち、そのてを繰り出してくる、もっとも信用のおける機構となっているのがサンダンス映画祭だと思う。SearchingやTullyやエイスグレードetcに、大作に負けない良心を見る。そういう小品は、まるで自分だけが知っている宝物のような輝きをもってしまう──ことがある。忘れない小品とはそういう映画たち、だと思う。

これもサンダンスで大ウケして世に知られた。
トムクルーズとつきあっていた頃は、主流を走る女優のような気がしていたが、芳年を過ぎると、なんとなく中堅どころには至らなかった感のあるケイティホームズ。Pieces of April以降の彼女を見た記憶がない。が、これはよかった。これさえあれば何もいらない。彼女の持ち味をぜんぶ引き出した「小品」だった──と思う。

街へ出ている娘を家族が訪ねてくる話。
都会で暮らす若者に言えることだが、そこには故郷や家族とは、相容れない世界がある。殺伐としてギラギラした生活があり、自分はそれに埋没している。それは牧歌的な郷土とは価値観のちがう世界だ──と、わたしも若い頃思っていた。じっさい、その通りでもある。

が、エイプリルは都市生活に身をやつしたとはいえ、繊細な気持ちも持っている。一人前にやっているんだってところを、家族に見せたい。サンクスギビングの来訪にあわせて七面鳥のローストを、つくる──つくろうとする。

この粗雑さと繊細さをあわせもったエイプリルが、たくみに描かれている。
ときに、ずぼらに見える。ときに、心優しさがあらわれる。

さりげなく派手、どことなくワイルド、な女性がいる──と思う。
普段姿になると、なにげに鼻ピアスしていたり、囲み目していたり、チョーカー着けていたり、露天商で買ったみたいな手作り感の革製のアクセサリーをあっちこっちに着けていたり・・・てらいもなく派手なノースリーブで、その露わにも臆したところがない。そんな女性がいる。

エイプリルもそんな感じ。なんか蓮っ葉な印象もある。でも根はまじめ。その可変でファンキーな女性像が、くっきりとしたキャラクターになっている。とても魅力的だった。

家族は、それぞれが困惑を抱えている。お互いに打ち解け合って、さえいない。だけど、最後はすったもんだを乗り越えて無上の大団円ができあがる。都会と田舎の違い、人種の違い、所得の違い、年齢や性情の違いも超えて、みんなでサンクスギビングを祝う。

監督のPeter Hedgesを調べたらヒューグラントのAbout a Boy(2002)を書いていた。たしかにあの映画のほっこり感はこれと一致する。なんかみょうに納得した。

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津次郎

4.0アメリカ伝統の七面鳥料理と中国人による七面鳥料理の対決

2018年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

と、そんな映画ではないが、食欲をそそられる内容だった。

 いかにもスラム街という雰囲気にあるアパートで暮らすエイプリルと恋人ボビー。それまでは近所付き合いも疎遠となっていたが、オーブンの故障に気付き、家族が到着する前に何とか七面鳥の調理を間に合わせるため、オーブンの調達に奔放するエイプリルだった。お母さんが末期癌であることを告げると同情してくれ、様々な料理の知識を授けてくれる黒人夫妻や、英語が全く通じない中国人家族。七面鳥を母に味わってもらうのは最後になってしまうかもしれないので必死になる彼女は、今まで気付かなかった近所の人たちの暖かい心にも触れることができた。 こうして自分の今やっていることが人生で初めて家族へ愛情を注いでいることや、不良だった自分を反省し始めたということが、エイプリルの演技力によりビシビシと伝わってくるのです。母役のパトリシア・クラークソンが色々と賞を獲っていますが、エイプリル(ケイティ・ホームズ)の方が圧倒的に上手いと思いますよ。

 一方、エイプリル宅へ向かう家族はロード・ムービー風味になっています。ここではボケが始まってる祖母がナイス!お父さん(オリヴァー・プラット)も、どことなくジャック・ブラックに似ていていい味出してます。太った脇役ではよく使われているようですね。

 ストーリーは単純なのにこれほど観客を惹きつける理由は、アパートという密室劇とロードムービーのコントラストが面白い点、それにラストでの説明不要の家族の絆。わざと粗く編集してあるとも思われるところが素敵なのです。アパートの住人の個性的なところ、上記した以外ではウェイン(ショーン・ヘイズ)というオタク系で犬好きの男が受けました。また、演技力のあるお母さんの心の変化が読めるところが面白い。最終的にはトイレの少女が・・・

 観終わった後には何だか暖かくなって、家族へ何かサービスしたくなるような映画です

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kossy

3.03.2

2017年2月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

ちょっと変わったほっこりストーリー。
長いホームビデオを観ているようだった。

なんだか騒がしかったけど、心温まる家族の素敵な映画。

お母さん役の演技がよかった。

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onaka
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