「なかなか味わいのある作品」父、帰る トミジュンさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか味わいのある作品
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母親、祖母と暮らす兄弟の元に数年ぶりに帰ってきた父親
喜びを隠せない長男と不信感が顕著な次男
二人を連れてキャンプに行く事になるのだが...
アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作
かなり前に観て好きな映画だったけど
久しぶりに観ても良かった
いずれ乗り越えていく父親とゆう存在との
家族内でも起こる軋轢などを描いていて良い
男の子ならおそらく誰でも経験する父親との反目する関係
タイミングなどで意識がずれる人間関係の難しさを感じさせる
そしてこの映画の素晴らしいところは
父親の素性が一切明かされない事
そしてそもそも本当の父親なのか?
この父親は何をしてた人間なのか?
パイロットならもっと帰宅できるはずだ
では、帰れない場所、例えば刑務所とか軍役についていたんだろうか?
怪しげな行動もあったり
兄弟に対して非常に高圧的な姿は軍人っぽくもある
また掘り出した箱の中身はなんだったんだろうか?
憶測が憶測を呼び、想像力を刺激する
そしてそこに答えがないのが
人間の行動を理解する事の難しさのメタファーなのではと考えさせられる
最後のパパ!と叫ぶ兄弟の姿には
とても味わいがあった
嫌いなわけじゃない
でも仲良くなりきれなかった
やっと手に入れた父親
色んな想いが去来して
考えさせられる映画だった
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