ライフ・オブ・デビッド・ゲイルのレビュー・感想・評価
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力強いメッセージ
設定を頭に入れるのに少し頭を使う印象…早い段階で寝てしまいました(笑、すみません…)。
ばっちり睡眠とって、最初から見直しましたw
主人公は、記者のビッツィー。観る者の感情移入はビッツィーで、まさにビッツィーと共に死刑囚にインタビューをしながら事件のあらましを知り、事件の謎を追って行きます。「犯人はあの人だ」「冤罪じゃないか」とドキドキざわざわ…。
もうこれだけでエンターティメントとして十分素晴らしいのに、
この作品は、投げかけるメッセージがすごすぎる…!
ビッツィー視点で観る一回目とはちがく、二回目は俯瞰から教授の巻き込まれた事柄や教授の生き様を観ると、主題の「死刑制度」についてはもちろんですが、
「夢」の持ち方…引いては誇りの持ち方みたいなメッセージが心にずしんときました。
冒頭のほうで教授の講義シーンから(うろ覚えですが)↓
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人は夢を手に入れたからといって豊かになるわけじゃない、夢を追っている時間がキラキラしている。
「夢は慎重に選べ」と言うが、あれは「簡単に手に入るものを選んではいけない」という意味。
あるいは、ちょっとした時に見せるやさしさに人は温かさを感じる。他者からなにか施されることによってその人への評価をして、その繰り返しで、人は人によって価値が決まっていく。
自分ひとりで価値が決まるのではなく、人が価値をつけていく。
だから、夢を追いかけているキラキラしている時間を長く持ちなさい
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…と、いうような講義だと解釈したんだけど、講義が早かったし難しくて理解しきれてないのですが。。。大学教授は、己の信念(死刑制度反対)を自分の命をもって最期まで貫き通されて、そうすることで残された人たちは投げかけられた問題や教授について考えていくのでしょう。
教授はそれを自分で決めて、つまり自分で冤罪でも死刑になるという道を作ったのだけど、、、
教授や同志の仲間が、夢や信念を追い続けたのは誰でも出来ることじゃないしカッコイイなあすごいなあ、と思う。思うけど、悲しい。
ラストで声を出して泣きました。。。
「冤罪でも死刑になる」を実証したのは、いい事なのか良くないことなのか分からないです。
死刑制度についても考えがまとまらないし、というか人が人を裁くということについて考えるのに私はキャパが足りません。
作品の分かりやすい説明も感想もまったく書けてないのですが(苦笑)、すごい入り込んで観てしまいました。
観賞後つらくて「2回は観たくないなあ。無いなあ」とげっそりしましたが、すぐさま2回目を観ました(笑)
やってるシーンと裸体がモロ映るから家族で見ると気まずい
現実パートと供述パートで徐々に真相に迫ってくのが面白かった。
最後のビデオでデイビッドが映るシーンはゾクっとした。ケヴィン・スペイシーは最後の最後で正体が判明する役ぴったりだな。ユージュアルサスペクツを彷彿させる。
やってるシーンと裸体がモロ映るから家族で見ると気まずいやつ。1人で見て良かった笑
歌劇「トゥーランドット」が示す所ダネ。
『メニューに写真を使っている店って美味しくないのよ』
『スターバックスより教会が多いわ』
『それに刑務所だらけ』
以上 この映画で気に入った台詞。
後、45分 なんとなく、真犯人が分かった。もし、そうなら、アラン・パーカーらしいお話だ。
もちろん、男目線。
当たり!!
最後の刑務所前で抗議活動家たちが歌っていた讃美歌は
『ホリーホリーホーリ・・』と歌っている。小さな恋のメロディの朝礼の時に歌っている讃美歌だ。
しかし、この映画が認知されても、冤罪や死刑制度の廃止運動には繋がらない。
戦争反対を訴える映画が作られて、ヒットしても、戦争はなくなるどころか増える一方。
PLA◯75にも廃止運動が欲しいネ。
なるほど!と唸る
最初から良質サスペンス感をまといながら、どんな展開になっていくのかワクワク。インタビューを3日に分けることで、現在過去の移り変わりも分かりやすく、章になっていて見やすい。
クライマックスで思わずなるほど!と呟いてしまうほど痛快緻密な展開。
死刑反対の視点から描かれるが、傑作と言っていい作品なので、個人の思想は脇に置いてフラットに映画として見たいところ。
ラストシーンを待たずして3人共謀なのは分かったので、評価は満点ではないが、ラストの相変わらずのスペイシーのドヤ顔はらしさ満点。
【今作は、死刑廃止論者の元大学教授が身命を賭して、死刑廃止及び冤罪の害を問うた逸品である。】
■雑誌記者・ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)は死刑廃止論者だった同僚コンスタンス(ローラ・リニー)へのレイプ及び殺人により死刑を宣告された死刑囚のデビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)に指名され、死刑執行前の3日間で彼のインタビューを行うことになる。
彼は教え子で落第生だったバーリンへのレイプ事件で大学教授の職を追われた後、死刑廃止論者だった同僚コンスタンスの殺人の罪で死刑を宣告されていた。
しかし、ビッツィーは彼が無罪ではないかと思い始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・私は死刑制度賛成論者である。
それは学生時代に学んだ刑法、刑事訴訟法で”疑わしきものは罰せず。”を叩きこまれたが、その後に”極悪なる者は、その罪を償うべし。”と言うハムラビ法典に合点が行ったからである。
近年であれば、映画化された死刑制度が廃止されていたノルウェーのウトヤ島での若き男女を大量虐殺をした男は、刑務所内でゲームをしたり、所内での自由を満喫しているようであるし、日本で言えば京都アニメーションの何の罪もない多数の男女を放火により殺害した男の所業は許し難く、一罰百戒の意味もあり、死刑は必要だと思っているからである。
・だが、今作を見るとケヴィン・スペイシー演じるデビッド・ゲイルと、同じく死刑制度反対論者であったローラ・リニー演じるコンスタンスの身命を賭した主義主張を見ると、少し考えがぐらついてしまう。
更に言えば、自分を落第させたデビッド・ゲイルにハニー・トラップを仕掛けたバーリンへの大学側の追求も甘い。
・雑誌記者・ビッツィーが、縛られ顔をビニールで覆われたコンスタンスが窒息死する様を見た際に被害者の脚が苦しみの余り、バタついていない事に気付き、自ら同じ状況下で顔をビニールで覆われた際に確認するシーンや、彼女が真意を把握し裁判所に向かう際に告げられたデビッド・ゲイルの死刑が行われた事を知り泣き崩れる姿もむなしい。
・更には、数日後に彼女の元に送られて来た、デビッド・ゲイルが息子が大切にしていた熊のぬいぐるみに入っていたテープを彼女が再生するシーン。
そこには、デビッド・ゲイルと一度だけ愛を交わした同士であるコンスタンスが自らの意志で窒息死する様と、カメラを振り返るデビッド・ゲイルの表情が記されていたのである。
<今作は、死刑制度反対論と冤罪の恐ろしさをメッセージとした社会派サスペンスの逸品なのである。>
参りました
あの冷静で天才的な頭脳を持った役柄はケビンが得意とするところ。
死刑廃止主義者が人を殺し自首する。ただそれだけの事件。
しかし女性記者(だっけ?)がそれに疑問を持ち、犯人に面会する。
犯人は多くを語ってくれないが、それも犯人の仕組んだシナリオの一環だった。
獄外の人間を使ってジョジョに奇妙に情報をリークして行く。
女性記者はやがて真相に気付き、彼が真犯人でないことを悟る。
が、間に合わず死刑は執行される・・・・
この結末までもがすべて彼と最初の被害者の協力によるシナリオだった・・・
深い・深すぎる!この結末は全く読めませんでした。
甘い話にはご用心
不心得な女学生のハニートラップで社会的地位も家族も失った自暴自棄の大学教授と同僚の余命いくばくもない白血病の女教授が織り成す手の込んだ自己犠牲物語。
まあ、見方を変えれば死刑制度への問題提起を絡めた社会派ミステリーなのだろうが、観終わってみると事件解決のカタルシスというより、一杯食わされた感が強い。
(ネタバレ)
死刑囚の独占インタビュー料が50万弗、三流弁護士の欲得づくかと邪推したがある種、生命保険だったのですね。
女教授は信条の為だろうが主人公は社会的信条より現実的な選択、哲学者なのでソクラテスの死と被って見えるが意外と普通の父親だったのですね。
道を踏み外した発端といえば、枕営業のような不心得女学生の誘惑というのもありがち、うっかり甘言に乗ってしまうのも中年親父の弱いところ、破滅の墓穴は日常に潜んでいるという怖さの方が際立って思えます。しかし、手の込んだ脚本、とんでもないミステリーでした。
重い。
なるほど、まんまと手の平で転がされていたわけだ。
どこかで、「そうじゃないか」とは思いつつも、「なぜ」、なのかが考えきれなかった。
でもそらそうだよね。すでに何年も服役してるんだもん、本当に純粋に冤罪を暴いてもらって生きたかったらもっと早くするよね。
ポンコツの弁護士によって「手違い」で終身刑が死刑になったところでおや?と思うべきだった。
そもそもド素人に調査させてるのにその素人ですら次々と新事実を掴んで、随時ヒントが転がり込む。計画して、協力者がいないと成り立たないよね。
いや~、最後までハラハラ。途中では涙したり。楽しめました。
色んな思いが重なった深いため息が出る
またまたお気に入りが一本増えてしまいました。
重厚なテーマを重厚なトーンで描いたがっしりした洋画はすごく久しぶり。こういう、ハリウッドらしくないけどアメリカならではのアメリカ映画も大好きです。
社会派作品としてもサスペンス作品としても上等な、先が気になり続ける緊張感のある無駄のない脚本に緊迫感のある演出、そして実力派揃いの役者さん達の演技に魅せられてすぐ見返したくなるようなお話です。
たしか大どんでん返し物と聞いて興味を持った記憶があるんですが、その記憶が曖昧になった頃に観られて本当によかった!最近予備知識に悩まされてたからすごく嬉しいですw でもそうじゃなくてもきっと大満足してた気がします。
というのはその大どんでん返しというのも、全く予想が立たずに騙されたー!!というカタルシスがあるとより、「はっ」とするけど淡々(でもないけど適当な言葉が浮かばない。。)と受け入れられるような、解釈を上書き保存するようなことが続いてラストに少し大きく「はっ」とするけどすぐに納得できて「はー」っと唸るという新鮮な感覚で、それがまたすごく良くて。
重いテーマの中全てに意味のある演出、伏線回収がすごく小気味よく、「???」状態だった最初のシーンへの繋がりにしかり、デビッド体液がコンスタントの体内に残っていた愛のある種明かしにしかり、要所要所でちょっとずつひっかかる「?」が二転三転を経て最後に太い一本の線になっててその脚本と演出の秀逸さには感動するばかり。
伏線だろうなとは思ってはいつつ、話が進むに連れて頭の隅の方に移動してた何気ない一コマ(教壇の言葉とか息子の欲張りなリクエストとか)も最高の形で後になって活きてきたり、
シーンが変わる毎に単語が何枚か一瞬だけ映る映像もずっと色味が明る過ぎてこの映画には蛇足な演出なように思ってたけど、最後の賛成派と反対派が交差するシーンで“社会”(その他大勢、部外者)とのトーンとか温度の対比としてあえてそうしてたことに気付いたり本当にたまらない演出の数々。
カメラワークというか視点の切り替わりもすごく面白くて、物語のキーになるビデオテープの最初のシーンは戦慄が走ったほど。映画であんなに生々しい殺人(もとい…)って初めて見たかも。ローラ・リニー本人の体だというから更に驚きです。
そしてそれを仕上げる素晴らしい俳優陣。
ケビン・スペイシーのお芝居はホントにいいなあ。。 彼が話すとその目を見入ってしまいます。
教壇に立ってた頃のデビッドとアル中の時期のデビッドと檻の向こうのデビッドはまるで別人に見えることもあるのに、その中にある一本の芯みたいなものを感じさせてくれててホントに凄いと思っていたところにあのオチなので余計凄みが増します。
ローラ・リニーはコンスタンスが抱える葛藤を本当によく表現していて、そんな経験もないのに気持ちが手に取るようにわかって切なくなるほどでした。
葛藤してたのはビッツィーも同じで、テープを見た後や最後の面会の時に女性として、ジャーナリストとして、そして“人間”として複雑な思いになる様と、そんな頭と心のアンバランスをふっきった後のピッツィーの行動力をケイト・ウィンスレットがパーフェクトに演じていて、『タイタニック』のローズ見えないほどでした。
あるラインを越えたがゆえのデビッドの“静”とビッツィーの“動”。死刑執行までのタイムリミットが限られている中この対比が本当に効いていました。
「人は日々死を遠ざけようとする。そのために食べ、工夫し、愛し、祈り、闘い、殺す。」
すごく印象深い言葉です。
そして
「失った物が多いほど死は希望になる。」
「私の命はどうでもいい。息子の記憶に父親としてどう残るかだけだ。」
と言うデビッド。
普通に生活してたらきっと一生立てない境地を目の当たりにし、人間くさく体当たりで真相に迫るビッツィー。
ビッツィーの「彼女自分でやったのよ!」には鳥肌が立ったし、テープを見つけてから刑が執行された(描写しないであっさり“その後”なのが逆に時間の残酷さ際立たせてて素晴らしい演出)と聞き号泣するところまでの人間の心理描写が本当に素晴らしい。
ハプニングは映画的ではあるけど緊急事態にならないとわからない通常運転のありがたさや、普段なら頑なにNOな事が後々考えると自分でびっくりするほど簡単にできるような、ルール無用の頭より体が動くあの感じがこれでもかというくらい伝わってきました。
そして死刑制度に対する問題提起。誰かが自分の考えを言うだけで誰かの人生に深い傷を与えてしまう本当に難しくて重い問題です。
監督は自分の意見を押し付けたりせず全部見終わった観客に「で、あなたは死刑についてどう思う?」と改めて聞いているように感じました。
でも死刑については実際に身内を失うか、もしくは自分や身内が死刑囚になってみない限り、私が賛成だとか反対だとかを口にしていいのかもわからないくらいの考えなのは変わらず、答えがだせなくてきっとそういう議論にはこれまでもこの先も参加できないままだと思います。だけどもっと考えてみようとも思いました。
死刑と並んで考えさせられたのは人それぞれの考え方、そして“旅立ち方”。
他人に理解できなくても本人が納得してるならきっとそれこそがハッピーエンド。
この作品にハッピーエンドという言葉は似合わないけどデビッドたちの計画がフォローまで徹底していたお陰で息子の未来も“利用された”ピッツィーにも救いがあって、こんな話なのに後味がいい。それは絶望を知ってるデビッドの希望と優しさに満ちた幕引きがそうさせてるのでなんだか感慨深いです。
当事者たちの気も知らずに周りは好き勝手に言うものだけど、私たちは常に“当事者”でもあるし“周り”でもあるということを改めて考えました。
印象の項目で[興奮][知的][難しい]の3つを選んだの多分初めてなのですが、普段選択肢がピンとこないことが多いけど色んな意味でまさにそんな感じの映画でした。ずっと泣きそうになりながら過ごす2時間というのも珍しい体験でした。
とにかくデビッドの人生を見られて本当に良かった!
死を賭けて臨む、信念と生きざま
死刑廃止論が全編を通じてテーマとして映画の雰囲気を重厚なものにしています。自分は今のところ、死刑廃止論に対して賛成でも反対でもない。それは自分の愛する人の命が奪われた時や自分が家族が死刑になるような場面に出くわさない限り、多分避けて通ると思う。つまりは賛成にも反対にも回るってことだ。この映画は反対に死を賭して訴える方法を取った男が主人公で、まんまとそれに乗せられた雑誌記者をケイト・ウィンスレットが演じています。彼女「タイタニック」で見せた演技よりこちらの方がより役者っぽくなったかな。それに対し主人公演じるケビン・スペイシー流石です、重厚で存在感。その演技力+シナリオ。謎解き的なストーリーでもあるのでみんな、最後の展開にはなるほど!ってなるはずです。そこで初めてこのテーマが浮かび上がってくるのです。こういう映画は観て爽快感はないのだけど、うーんと唸って考える、そんなことも映画の魅力の一つであるわけで・・・。と自分を納得させています。
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