ヘヴンのレビュー・感想・評価
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教会にいるような静謐
できれば映画館で、
家でなら明かりを消して
観たい作品。
重いですが。
教会や寺で味わうような
静謐で湿った空気を画面から感じる。
どんどんシンプルになって
最後にはお互いの魂だけになっていくさまは
神々しくさえある。
元は一つだった二人が
再び一つに戻っていく儀式のような厳かな。
美しいです。
静かな美しい物語
淡々と進む序盤、テロを疑われ、もはや自分が信じていた正義が傀儡のごとく崩れ去り、圧倒的な劣勢の頃に差し伸べられたら、誰だって利用する。
さらに罪に手を染め、もうどこにも救いなんてなく、ただ終わりを待つだけなはずなのに、そこにある無償の愛にすがりつこうとしたわけではなく、もうそのままでいようとしただけなのかもしれない。答えなんてない。けど、なぜか応援というか、見守るだけでもいいのではないかと思わされるのは、演じた方々の演技力の凄さなのかもしれないと思えました。
正義とか、罪とか、そんな次元で語る話ではないのかもしれないです。美しかった。
逃避先で寄り添うようにいた2人が凄く印象的でした。
感動!
静かに美しく語りかける映画、心に響きます。冒頭のヘリコプターのシュミレーションシーンがずっと謎だったけど、ラストに持って来て感動です。
後半の台詞が異常なまでに少なく、役者に力量が伴わなかったのが残念ではある。4人の命を奪った贖罪も感じられないし、麻薬撲滅といったメッセージも中途半端になってしまっているが、父親レモ・ジローネの愛情が痛いほどよく伝わり、このマイナス分が吹っ飛んでしまいました。
罪をつぐなうために自殺をするという安易な方法を取らなかったのは、脚本キエシロフスキーの腕なのであろう。これは好きだ。
至高の愛が天にまで届く傑作
15年振りに観たが、やはり傑作だった。
キェシロフスキの遺稿だが、彼の不思議な空気感と、監督トム・ティクヴァの疾走感が、シンプルだけど心に訴える愛の名作を生み出した。
メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンス、シアーシャ・ローナンと続く、名女優の系譜に燦然と連なる、ケイト・ブランシェットがこれまた素晴らしい😍
今、DVDが出ていないのが残念。復刻を期待したい。
ラストは映画史に残る余韻。
絶対のおすすめ。
焦点が定まらない
うーん、正直、観終わって「?」マークが浮かんでました・・・
完全に事前情報なしで挑んだっていうのもあるんでしょうけれども、なんていうか、焦点が定まっていない気がしたんですよね。ラブストーリーではあるんでしょうけれども、それを描くには澄み切ったタッチにすぎる感じがするし、それでいてちょっとしたサスペンス感もあったりして、なんかどこへ向かっていくのか観ていて分かりづらかったですかね。ラブストーリーと知って観た方が、変に惑わされなくて良かったのかもしれませんけど、でも、そういう事前情報が役に立つっていうのは、映画としてはどうかと・・・
ケイト・ブランシェットの美しさを堪能することはできましたけど、そこからのもう一歩が欲しかったですね・・・
キェシロフスキの遺稿
見たのがずいぶん昔ですが
キェシロフスキが亡くなった後に作った映画だからそんなに期待してなかったのですが予想以上に良かったです。
ケイトブランシェットがとてもいい。逃避行はおとぎ話のようでした。
美しい田園風景を心理描写として詩的にうまく使った
総合:70点
ストーリー: 60
キャスト: 70
演出: 85
ビジュアル: 85
音楽: 75
詩的な美しいイタリアの田園風景。芸術的で文学的な映像を物悲しい音楽にのせてせつなく流す。高く高く一直線に青い空に吸い込まれていく二人に、天国に真っ直ぐに昇って行ったかのような余韻が残る。
しかし物語についてはどうだろう。初めて会ったばかりのテロの容疑者に、自分の人生を捨て憲兵の高官であった父の名誉も傷つけ、さらには恐らく自分の命も捨てることも覚悟で彼女を助けるなんて、やはりイタリア人の男はそんなにも情熱的なのだろうか。証拠は圧倒的に彼女に不利で彼女の麻薬がどうこうということを裏付ける証拠は処分されており、ただのテロリストとしての有罪を示しているのにそこまで信用しちゃえるのだろうか。それも恋に落ちた盲目さのなせる業か。
それと彼女は誤って四人の一般市民を殺してしまったから、その罪の償いをするといって自分の死をほのめかしていた。生きているのは麻薬の元締めを殺すからだと言っていた。そのわりに目的達成後もなかなかしぶとく生き残っていくのは、やはり極限状態で恋に落ちたから?心の分かち合いを今ひととき堪能したくて考えが変わった?
物語は置いといて、逃避行の心理描写を含めた詩的な映像。セリフではなく風景や行動に物語らせる演出。そんなものに得点をつけたい。
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