「ティーンエィジャーにはいい映画かな」ウォーク・トゥ・リメンバー 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
ティーンエィジャーにはいい映画かな
いいトシして、アメリカのティーンエィジャーものはどうかと思ったけれど、聖書を片手に健全な活動に励む美少女と、向こう見ずでやけくそな不良イケメンという、水と油のような二人がどういうふうに関わりをもっていくのか、ちょっと興味があった。
それは面白かったけれど、後半でジェーンが自分の病気を告白する場面が。「おっと、そうきちゃうの?」と、かなり調子が狂った。若い子の病気、死というテーマ自体はいいけれど、この段階でそれを詰め込む?みたいな。こういうことをあとの方にサラッと出してくると、この重いテーマがかえって軽く扱われてしまうことになるような気がした。そして、この展開は衝撃的すぎて、せっかくのおもしろいの男女のやりとりも印象が薄くなってしまう。若い女の子の死がテーマなら、もう少し早い段階で取り扱って、もっとじっくり掘り下げてくれたほうがよかった、という感想。
どっちを表現したいのよ、といいたい感じ。
というか、これ3時間くらいかけてやってくれるか、もしくは前編と後篇に分けるとか、続編ものにするとかにして、病気発覚以降も丁寧に見せてくれるとよかった。
といってもこれは私の希望で、若い子がこの映画を見たら、けっこう呼吸が合うのかもしれない。
友達から恋人になっていく過程が長いのは当たり前で、この長さ感覚は身近なものなのでは?
そして、相手が病気で他界する過程は、相手には家族もいるし、過去を共有しているわけではないから、若すぎる立場では深入りもできないのかもしれない。なので、ティーンエィジャーが見る映画としてはこれでいい映画なのかも。
というわけでいいトシして見てしまったのが間違いだったのか、と。
この映画で、とてもいいなと感じた点がいくつかある。
ジェーンの教会での歌が、とてもきれいで可愛くいじらしく、すてきだったこと。
演劇の中でのジェーンが色んな面でバランスが取れた、素晴らしい美人だったこと。
ジェーンが、ランドンと恋仲になったあとも彼女らしいままでいて、凛として質素な雰囲気を変えなかったこと。(急に色っぽくなったり飾りはじめなかったこと。)
ランドンが彼女に惹かれはじめたころから、あくまで自分の気持ちに正直に誠実に突き進んでいったこと。それが力強くて素敵だったこと。目つきが違ってきた、と感じさせた演技。
ジェーンの父親の言葉
「奇跡は起きませんでした」というランドンの言葉に対し、「君こそが奇跡だ」と。この言葉は素晴しいと思う。
この言葉ひとつで色々考えさせられる。