鬼が来た!のレビュー・感想・評価
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中国はやっぱすごい(汗
中国映画です。
戦時中の映画で、中国共産党(国民党、と表示されています)を批判している映画と解釈され、
中国では上映禁止になっているとか。
反共映画というやつかな?
初めは反日映画かと思ったのですが、全然そんなことありませんでした。
日本人の特徴とか悪いところとか美点とか、すごく忠実に表している。
中国人のコミカルさとか狡猾さとかも。
何か、何も隠さないでちゃんとだらっ、と(だらっ、とがポイント)出している。
偏見まみれで日本を描く外国映画に見習って欲しいものです。
問題提起の映画なのですが、もう鋭さがひど過ぎる。
鋭すぎる。
痛い。
これは「映画だから」と割り切って観ることが出来る人だって多分、知らずに飲み込まれてしまう。
そんな変な空気を持っている。
色々考えさせられた。
日本人、謝るな。謝りすぎ。
上官に対して礼儀があるのはいいけど、あれは慇懃無礼。
上官、部下に対して、ちゃんと言うこと聞いてるのにしばきすぎ。
暴力しすぎ。相手謝ってるじゃんもう。イラッ
アリは殺せずとも、恩人は殺せるか。
日本人とは「上」が全てなんだねぇ
これは映画っていうより、映画の上の芸術を、、芸術単語を作るとしたら「それ」だと思う。
映画を超えてる。
でもインパクトやショックがでかすぎて、R30向けかもしれない。
2017年、最も影響を受けた映画はこれ。
ゴッドファーザーシリーズと僅差でした。
「赤」の意味。
観終わってからずっと考えている、酒塚隊長は何故罪のない中国の村人を虐殺したのか?
姿の見えぬ「私」によって平和な村(日本占領下、海軍の小部隊が駐屯しているとはいえ)に運ばれてきた2つの“荷物”。それは麻袋に入れられた日本兵捕虜花屋(香川)と通訳の中国人。引き取りに来るまでこの荷物に傷をつけたら村人全員皆殺しだと脅されて、仕方なく2人に食糧などを与えて面倒を見る主人公。中盤までは村人がこの厄介な荷物を色々ともてあます様を、スラップスティックばりのユーモアで描かれる。言葉が通じないことによる(意図的な)誤解の可笑しさや、村人同士の責任のなすり合いや、役立たずの首切り人の登場などに大笑いしながらも、折々に見え隠れするスパイスが効いていて、その巧みな演出に舌を巻く。
しかし、村人が食糧と引き換えに花屋を、彼の部隊へ送り届けてから徐々に暗雲が垂れ込め、ジワジワとした恐怖に落ち着かなくなる。隊長は生きて帰ってきた部下を恥さらしと罵り体罰を与え、それでも「皇軍は約束は守る」というプライドのため村に大量の食糧を持っていく。このあたりの日本軍の描き方がやけにリアルだ。村人は日本軍に感謝を示し友好的な酒宴が開かれる。このシーンの陸軍と海軍の対比が面白い。村の子供たちに飴を配っている海軍隊長は、前線に出たことがないため、にこやかでのんびりとしている。しかし前線から戻ったばかりの陸軍隊長は、殺気立ち隙がない。宴もたけなわの中で突如始まる大虐殺。村人に対して友好的だった海軍隊長までが連鎖的に罪の無い子供までも殺してしまう。右へ倣えの軍隊の恐ろしさ。それまでのユーモラスな作風から一転した恐ろしい展開に呆然とするばかりだ。
何故こんなことになってしまったのだろう?これには幾通りの理由が考えられる。1つ目は言葉と風習や立場の違いによる誤解によって、村人は隊長の意図が分からず、立場をわきまえない態度をとってしまったため。2つ目は、隊長がはなから村人を大敵である中国共産軍の一味であると考えていたため。3つ目は、隊長の中国人に対する個人的な偏見と復讐のため。何故なら、隊長は虐殺が終わり、花屋が自決しようとするのを止めて初めて日本が既にポツダム宣言に受諾していたことを告げるのだ。何故だ!?戦争が終わっていることを知っていたのに、何故村人を虐殺したのか?戦争が起こした理不尽さと一言では片づけられない。
本作を表層的に観ると、村人たちにとっての「鬼」は日本軍で反日映画と捉えることもできる。しかし、ウェン監督が本作に込めたメッセージはもっと深い。「善人」の中に芽生える復讐という名の「悪」。「鬼」は誰の中にもいる・・・という性悪説のメッセージか?
いやいやそんな偽善的なメッセージをこの監督がここに込めるはずがない。もし本当に酒塚隊長の復讐心がこの虐殺の要因となっているとしたら、いったい誰に対しての復讐か?それはゲリラ戦を得意とした中国共産軍への怒りと憎しみだ。事の発端である、村に荷物を持ち込んだ「私」が共産軍だったとしたら・・・?監督が念入りに織り込んだ共産党批判、それゆえの中国国内公開禁止だったのではないだろうか?
最終的に主人公が斬首されるラストシーンも、「臭い物には蓋」的な不条理を明確に表現しており、ヴィジュアル的にも大変ショッキングだ。主人公が最後に観たものは酒塚に自分の処刑終了を報告する花屋の姿。その画面が主人公自身の血で染まる。モノクロ映像がここで初めてカラーとなる。その色は「赤」だ・・・。
やはり監督の言わんとしていることは・・・(ニヤリ)。ほら、落された主人公の首もニヤリと笑っているじゃないか・・・。
平穏と狂気。
序盤のドタバタから、いい雰囲気になっていく中盤へと、こういう交流もあったのでは…などと思いきや。まさかこんな狂気が待っているとはね。でもその狂気の演出のほうが、実はリアルだったりして。
真っ赤なエンドロールを観ながらしばし呆然、です。
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