「失われゆくアイデンティティへの惜愛」山の郵便配達 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
失われゆくアイデンティティへの惜愛
中国の山村の生活、そこに住む人々の純朴な表情、美しい田園風景、どれもがとても印象的だ。それらは、かつて日本にも存在したものであり、中国もこれらから失うものなのだろう。そうした中で父から子に引き継がれる徒歩での郵便配達の仕事も、遠からず失われる仕事なのだろう。
また、自らの境遇や周りの変化等全て受け入れながら自分の信じる生き方を通す父の姿。父の不在に畑や村の仕事を行い母を支えていた息子。彼らの根幹に昔ながらの儒教的精神を感じる。
そうした環境の中で、淡々と進む家族の物語には、偽りの無い美しさを感じる。それと同時に、もう既に全てが失われてしまっていてもおかしくないとい儚さ、切実さを訴えかけてくる。
戦争から内戦、文化大革命から改革開放政策。変化のうねりが続く中国で、脈々と受継がれてきた自分達のアイデンティティ。それを思い出してほしいという願いが、この作品には込められているのではないかと思う。
それにしても次男坊の愛くるしいこと。世界のどこにおいても、常に犬は人の最良の友だ。
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りかさんのコメント
2024年8月21日
フォローしていただきましてありがとうございました😊
今後ともよろしくお願いいたします🤲
本作、心が洗われるような作品ですね。幼い頃見た私の家よりもっと田舎の様子にも似ていました。
もう変わっているかもしれませんが。