劇場公開日 2001年4月7日

「【父が長年行ってきた中国山間部の郵便配達の仕事を引き継ぐ息子が、父の仕事の崇高さ、大変さに気付いて行く様を、美しき山岳風景を背景に描き出す。親子の絆を深めていくロードムービーの秀作である。】」山の郵便配達 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【父が長年行ってきた中国山間部の郵便配達の仕事を引き継ぐ息子が、父の仕事の崇高さ、大変さに気付いて行く様を、美しき山岳風景を背景に描き出す。親子の絆を深めていくロードムービーの秀作である。】

2022年3月7日
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ー 冒頭、テロップで”1980年代、湖南省西部”と流れる。-

・山間部での郵便配達のため、滅多に帰って来なかった父との距離感を感じながら育った息子。故に、彼は父の事を”アンタ”と呼んでいる。

・老いた父が、初めて息子と忠犬”次男坊”と二泊三日の郵便配達に出掛ける。それは、息子に仕事を引き継ぐ意味もあったのである。

・心に残るのは、行く先々の村々で彼らを待っている山の民の豊かな表情である。
来た時には誰もいなくても、彼らが村を出る際には、村人総出で見送るシーンには、心温まる。

・父が、目の不自由な老婦の元へ、わざわざ孫からの郵便を届けるシーンも良い。孫の手紙を”老婦を気遣い、内容を盛って、”話して聞かせるシーン。

・トン族の娘と、息子が楽し気に話す姿を見る父。その脳裏には、妻との出会いのシーンが蘇っている。

・父を背に川を渡るシーンも良い。”郵便袋より軽いね・・”

・険しい崖の道を上がる際に、上からロープを投げてくれた聡明な少年との会話。

<いつの間にか、息子は父を”父さん”と呼んでいる。それを嬉しそうに、照れ臭そうに”父さんだってさ。”と、忠犬次男坊に話しかける父の嬉しそうな顔。
 今作品は、成人して、初めて父の郵便配達の道を一緒に歩む中で、息子が父の仕事の尊崇さ、大変さに気付いて行く過程を丁寧に、中国の美しい山岳風景を背景に描き出した作品である。>

NOBU