「デビュー作にすでに重要なエッセンスが」フォロウィング 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
デビュー作にすでに重要なエッセンスが
クリストファー・ノーラン監督の最初の長編映画だが、同監督作品の主要なエッセンスである「時間」についての鋭い構成力がすでに見られる。時間経過がリニアに進行していない構成の作品なのだが、それがスリラー映画としての完成度を高めている。こういう構成は人物の感情が繋がっていかないので、見るのが難しいと感じる人がいると思う。実際、難しいけど、「メメント」ほど難解でもない。
とあるスランプの脚本家が、ネタ探しにある男を尾行する。その男は泥棒を生業にしていた。二人はある家に侵入するが、色々あって事件に巻き込まれていく。しかし、その裏には男のたくらみがある。
時間軸がシャッフルされている構成は、どこか人の記憶のようでもある。人は出来事を理路整然と時系列通りに覚えているわけではない。エピソードは断片の集積として脳内に保存されている。そういう人の記憶の迷路に迷い込むような、そんな感覚を味わう作品なんだろうと思う。
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