「◇初期の時間の魔術師」フォロウィング 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)
◇初期の時間の魔術師
クリストファー・ノーラン監督の初長編作品がリマスターされて劇場で上映されていたので鑑賞してみました。モノクロ手持ちカメラ🎥で切り取られるロンドンの下町、サスペンス仕立ての濃密さ、背景には不穏な音楽。
そして、お家芸である「解体+編集された時間軸」がこの時点で完成されていることに驚きました。時系列を入れ替える編集手法の類例は他にも見られるかもしれませんが、ノーラン監督が切り取る時間、場面には独特の緊張感があることに改めて気付きました。
一つは、モノを拡大して描写する手法(ここではピアスとかポートレート写真とかハンマーとか) もう一つは、俳優達の目付きの緊迫感。鑑賞しながら、だんだんと胸の奥に迫ってくるような、胸騒ぎしてくるような感覚が蠢きます。
都会に住む分裂病気質の若者の独白、撲殺される老婆のエピソードはラスコーリニコフ(罪と罰-ドストエフスキー)を、無意味な尾行(Following)は、ガラスの街(オースター)を想起させました。改めてノーラン世界を探究し直してみたくなるようなそんな作品でした。
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