ファニーゲームのレビュー・感想・評価
全44件中、21~40件目を表示
【“白いシャツとズボンと手袋をした異様な男に卵を上げようとしただけなのに・・”不条理で不快感溢れるミヒャエル・ハネケ節炸裂作品。】
■不条理で不快感溢れる作品を制作する監督ベスト3+1
1.今作の監督 ミヒャエル・ハネケ 「愛、アムール」で、涙を誘ったりしながらも(けれど、良ーく見るとね・・)、「HAPPY END」そして今作。
2.ラース・フォン・トリアー 「ハウス・ジャック・ビルト」
3.ポール・ヴァーホーヴェン
+1としては、明らかに今作に影響を受けたと思われる「聖なる鹿殺し セイクリッド・フィア」を制作したヨルゴス・ランティモスである。
そして、思い出したが、リューベン・オストランド監督も、近い気がするなあ・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭から、不穏感、不条理感、不安感が尋常でない作品である。
白いシャツとズボンと手袋をした小デブな男ペーターが、キャンプ地にやって来たショーパー一家(ゲオルグ&アンナ夫妻、そして息子の家に、卵を貰いに来るのだが、2回卵を落としてしまう。そして3度目・・。
ー 卵が割れてしまったときに、嫌ーな気持ちになる人は多いのではないだろうか。
今作での、ショーパー一家の行く末を暗示する見事な冒頭のシーンである。
・同じく白いシャツとズボンと手袋をしたパウルは、更に陰湿で暴力的で、
”明日の朝までに、アンタ達は死んでいるだろう・・”
と言いつつ、ゲオルグの脚をゴルフクラブで打ち付ける。
・そして、今作でパウルは3度、第四の壁を越えて見る側に、嫌ーな笑いを浮かべながら、語りかけてくる。
”このままじゃ、面白くないだろう?”
・劇中で流れるのは、丸尾末広の絵をジャケットに使用しているあの、「ネイキッド・シティ」の”ジョン・ゾーン”の金切り声の様なサックスが響き渡るフリー・ジャズである。
ー この選曲は、この作品のダークテイストに絶妙にマッチングしている。ー
<今作は、観客を、不安と不快な気持ちにさせる天才、ミヒャエル・ハネケ節全開作である。
中途半端なホラー映画が、裸足で逃げ出す程、嫌ーな気持ちにさせられる作品である。
けれど、ミヒャエル・ハネケ監督って、カンヌでは評価されている事が良く分かる作品でもある。>
ストーリーを承知の上で鑑賞したが⁉️
やはり半端な作品
米国版も同じ中身なのかな?
これ指定ないし地上波で放送したことあるのかな?
米国映画だと最後は正義が勝つみたいな結末が多いのだか特に目を覆うようなシーンは無し 脱ぐ所は表情だけ殺害シーンは音だけ巻き戻しのシーンは意味不明??
やはりR指定になるような派手な作品が観たかった!
個人的に拒否感がすごいある。ピアニストでカンヌ取ってるとあり検索し...
個人的に拒否感がすごいある。ピアニストでカンヌ取ってるとあり検索してみたら過去に劇場で見たことある作品だったけど、こっちも嫌悪感がすごすぎて記憶から消去していたらしい。なんだろ、お金払ってわざわざイライラしたいマゾ気質な方にはおすすめ。ほんといろんな意味でイライラできる。笑
.
自宅にて鑑賞。オーストリア製、M.ハネケ脚本・監督。クライム・サスペンスとでも呼ぶべきか……但し救いは無い。暴力は不快と云う監督の意図から怒りを憶えると策に嵌った事になる。観る側への挑発か、或いは物語の破壊か、A.フリッシュ演じる“パウル”をカメラに向かってウインクさせたり虚構を強調するシーンやセリフがある。ただ同じ様な意味で登場するリモコンのシークエンスは、大好きなM.ブルックスの『スペースボール('87)』で既出。長回しや遠景等、実験的な描写もあるが話のネタとして鑑賞する程度だと思う。50/100点。
・裸やゴアシーンを意図して外していたり、伏線じみた冒頭のヨット内でのナイフが呆気無く取り上げられたりと、この辺りに監督の計算が見え隠れする。“アナ”を演じるS.ロターは本番前に監督から、約20分近く泣くように指示されていたらしい。更に犯人側に許しを乞うシーンは、28回も撮り直しをしたと云う。本作の十年後にハリウッド版リメイクをM.ハネケ自身が、N.ワッツ、T.ロス等を使い撮ったらしいが、観るかドウかは微妙。
・鑑賞日:2011年11月23日(水・勤労感謝の日)
4.8
とんでもない傑作
ハネケの早すぎる代表作だ
虚構と現実の間の壁を''第四の壁''という
映画の世界と我々現実の世界を隔てているのもそれだ
通常は第四の壁を通してそれぞれが独立しているが、この作品は壁を崩壊させる
観客への問いかけや逆再生
見る者にこういうのが見たいんだろう?と言わんばかりの巧みさ
特に着目してほしいのはbgmがほとんどない
エンドロールさえ曲がないのだ
敢えてBoneheadの『Naked City』のみを効果的に使用している点に好感がもてる
最近の映画は大きな音で恐怖を与える方法が主流だが、ほとんど曲を使用しないこの方法は、"人間の怖さ"がより引き立つと感じる
序盤のあからさまな伏線を早く回収してくれと祈る観客をあっさりと裏切り、最後は心のどこかで期待している最悪の伏線を回収する
お見事
まったく、オススメはしない
しかし、オススメしたい
最高の胸糞体験を是非
すごかった
すごかった。なんでもない日常の舞台でなんでもない見掛けの人だけで、こけおどし一切なく圧倒的な恐怖や心底嫌な感じを描くのがすごい。USAを見ていて話を知っているはずなのにはらはらした。ただ子供が死んじゃうのは悲しすぎるのでやめて欲しかった。一寸先は闇であることを実感させる。
暴力、厄災、やり場のない怒り、向ける対象を失った怒り、ふっと現れ理...
暴力、厄災、やり場のない怒り、向ける対象を失った怒り、ふっと現れ理不尽に奪っていく。この虚構は現実並みに現実だと。観客に疑似体験させてくる。メタ視点からのメタ視点。あくまで正直にリアルにいる。やられたからやり返す。
時々出てくるナイフの描写。パンを頬張る姿にやられました。
ミヒャイルハネケ監督は二作目なんだけど、コードアンノウンよりは理解しやすく感じました。
ハネケ監督の思うつぼ
負けました、白旗です
はじめから希望がない。終始ムカムカするし気持ち悪くなる。ストーリーはシンプルなんだけどところどころ面白いところもあるんだよね。リモコンで巻き戻りたりするとことか。
物凄い作品だけれども今のところこの顔は見たくないかな。
誰にも見ることをオススメしない!
『かつてここまで救われない映画が存在しただろうか?映画史上最も後味が悪い快感が観る者に襲いかかる!』こんな宣伝を見てこの映画を見たいと思う人はいるのだろうか。正直この映画は2度と見ないし誰にもオススメしない。それは駄作だからというわけではない。この作品は傑作である。とにかく不条理な暴力が延々と続く。そして暴力シーンをあえて一切映さない。音楽もほとんどなく静寂の中の恐怖を突きつけられる。こういうことをする事により観客をイライラさせる。イライラどころではない。本当に救いようのない映画だ。ちょっとした救いでさえない。現実を突きつけられる。都合のいいことなどない。とにかくリアリティがある。後味もクソもない。この作品を見るにあたってはとにかく精神的にも落ち着いていてこれから最悪なものを見せられるという気持ちを持ってみるべきである。見ることをオススメはしないが一度経験するのはいいと思う。
暴力を皮肉った映画
虚は現実である。この映画はフィクションだが、現実だ。
都合よく電話をかけることができたり、見逃してもらえたり、犯人を銃で撃ち殺せたり、そんな都合のいいことは現実にはない。ただ理不尽な暴力をふるわれて殺されるということもある。
暴力を娯楽として見せている人、見ている人を批判した映画なのかなぁ、と解釈しました。
じわじわとくる怖さ。
カメラのアングルだったり、静の時間であったり見せ方がうまく後半はひきこまれました。
女優さんのやつれ具合、演技もすごい。
見て後悔する映画によく名前が挙がっていますが、後悔しませんでした。
観る者への挑戦状
観たくない映画としてずっと避けていましたが、ハネケ作品が残す所「ファニーゲーム」と「ファニーゲームUSA」のみになり、時がきたのでやっと観ました。
物語は湖畔の別荘へ休暇に向かう家族が車の中でクラッシックを聞いて曲名を当てるゲームから始まります。そこに突然のメタル音楽とタイトルバック!序盤からただならぬ空気が漂います。別荘って何か不吉な場所。
別荘に到着すると、真っ白な服と手袋をした不気味な青年2人が訪れます。「卵を下さい」という青年。臆面もない青年とのイライラするやりとりは、次第に危ない方向へ。その後の展開は人が嫌悪するありとあらゆる行為を「殺人ゲーム」という形にしてまざまざとみせつけます。
「青年達の病的な厚かましさ」
「聞かされると不快になる話をする」
「揚げ足をとり責任転嫁する」
「選択出来ないことを選択させる」
「身内に屈辱的な命令をさせる」
「子供やペットを痛ぶる」
「期待を失望に変える」
「残酷なゲームを楽しむ」
特に私がきつかったのは、「希望を与えるがそれを絶望に変えることを繰り返す」ことでした。やっと逃げれたのに、捕まる。しかも2回も(母と息子各々ですが)。残酷です。
ハネケは言う。
「ハリウッド映画は暴力を快楽の道具に使っている」と。この発言からも分かる様にハネケは観る者に向けて「暴力の本質」といった挑戦状を叩きつけています。快楽の道具になるほど生温いものではないと。
まるで「こういうの観たいんでしょう」と言いたげに、突然観る者に向かって語りかける青年。「最後まで助かる見込みはないからね」と言わんばかりにテープを巻き戻す。
そして、ラスト。
青年はまたもや、観る者に語りかけます。
『虚構は今観てる映画。虚構は現実と同じくらい現実だ。』
ハネケが暴力に真摯に向き合って作った作品。そこには軽々しい快楽性は微塵もありません。暴力は虚構ではなく現実。だからこそ、観る側にもそれ相応の覚悟が必要になります。
ハネケ監督、いやはや参りました。
疲れた〜。
聞いた話と違うよ…
ミヒャエル・ハケネ監督の映画の中で初めて観た作品。
見るきっかけとなったのはこの監督のことが好きな友人から勧められて。
「卵を借りに行く話」としか聞いていなかったので、「?、はぁ…卵ねぇ…?」という心構えで観たら大惨事だった。
当分白い服の男にビビっていた。
なんでもブルジョワが嫌いで、酷い目に合わせたくなる、観客にポップコーンを食わせたくないなどと公言する捻くれっぷりが好印象だ。
冒頭にクラシック当てゲームをしたり、別荘に行ったり、ゴルフをしたり、ミヒャエル監督が嫌いなブルジョワであることを物語っている。
その割りに他の作品「ピアニスト」「アムール」でもクラシック音楽を織り交ぜてくる辺り、監督自身もクラシック音楽が好きなのではないかとも思う。
この映画の中で一番好きなシーンは、弟が奥さんに撃たれた直後巻き戻したシーンだ。
それはタブーだろう、やっちゃいけないだろう。ということを平気でやってのける。
また、そこまで撮らなくても良いのでは?
という所を執拗に撮る所に監督のこだわりや執念を感じて、監督の人間らしさが作品から伝わってくる所が好きだ。
(夫息子が殺され妻が呆然としている長い沈黙のシーン等)
この兄弟はこの「卵を借りに行く」ことをずっと続けて行くというエンディングはありきたりだが、もしかしたらそのうち自分の所にまでくるかも…という恐怖を感じてすごくぞっとする。
良くあるホラーよりもずっと日常的で怖いと感じた。
とても良い作品だった。
全44件中、21~40件目を表示