劇場公開日 1954年4月15日

「賛否あるでしょう」私は告白する 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0賛否あるでしょう

2024年4月16日
PCから投稿

倒叙的内容でサスペンスを際立たせるヒッチ一流の緊迫感は感じられますが、宗教的な要素が絡んでいるのでシリアスでユーモアが感じられません。

また、カトリックの戒律の厳しさがカトリック以外の人間には到底理解できない、即ち非現実的でバカバカしいと受け取られる点も当時からかなり指摘されてきたようです。

ただ、ヒッチの場合はテーマを設定してからストーリーを作るのではなく、ストーリーを重ねれば自然にテーマが生まれてくる、という手法をとるらしいので、カトリックの宗教性は単なるプロットとして利用したまでで、テーマ性を持たせるつもりはなかったそうです。

ヒッチ自身も、撮影地であるカナダの雰囲気とドイツ系移民を重要人物に配したチグハグさと脚本の弱さに起因してひどく重苦しい作品になってしまった、と認めています。

クリフト選手は撮影中常に酩酊状態で、且つ信奉する演技コーチを横に置いて中断を繰り返すなど、相当なトラブルメーカーだったそうです。

越後屋