別れの街角

劇場公開日:

解説

親の愛情にめぐまれない姉弟と孤独な老芸人の心のふれあいを描く。製作はアドリアン・ゲイとヴィクター・リンドン、監督・原作は新人アンソニー・シモンズ、脚本はチューダー・ゲイツとシモンズ自身、音楽はライオネル・バートが各々担当。出演はピーター・セラーズ、ドンナ・ミュレーン、ジョン・チェイフィー、デイヴィッド・ダカー、マージョリー・イェーツなど。

1973年製作/イギリス
原題または英題:The Optimists
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1975年11月15日

ストーリー

リズ(D・ミュレーン)は十一歳、弟のマーク(J・チェイフィー)は六歳。姉弟の両親は狭く薄汚れたアパートから川向こうの公団住宅に移ろうと四六時中働きづくめで、二人を構うひまなどまったくなかったのだ。淋しい姉弟はある日、街頭で犬といっしょにささやかな芸を披露している老芸人サム(P・セラーズ)に出会った。サムは、かつてはミュージック・ホールの人気スターとして鳴らしたものだったが、今は愛犬のベラと路上で芸を売ってほそぼそと生きていた。彼の住むバラックには華やかだった頃の舞台衣裳がしまわれ、ベラを相手に過ぎ去った日々を一人語るだけがサムにとっての人生だった。姉弟と老芸人は似かよった境遇に共感を抱き、たちまちうちとけた。マークはサムの愛犬ベラをみているうちに、自分も犬がほしくなり、三人で野犬収容所に行って可愛い小犬を選んだが、父親のボブ(D・ダカー)や母親のクリシー(M・イェーツ)に頼むのもはばかられ、自分たちで犬の食費を工面することにした。小犬はバタシーと名付けられたちまち人気者になったが、ベラがすっかり老い込んで弱り始めていた。その頃一家は、念願の公団住宅に移れることになったが、犬の飼育は禁止されているために困り果てた姉弟はサムに相談しにいった。ところが、そこでは冷たくなったベラを前にサムが酒に酔っていた。二人はそんなサムを見かねていつかの約束を思い出した。いつか一緒にサイド・パークにいったとき、ベラが死んだら立派な墓を作ってやることになっていたのだ。二人は酔ったサムに代ってベラの墓を作るためにサイド・パークに向かった。その頃夜になっても帰ってこない姉弟の両親が、酔顔のサムを問いつめてようやく二人の行方を聞きだしていた。そんなボブに、サムはいった。「小供は叱ったり食わしてやるだけじゃだめで、夢が必要なんだ」。ロンドンに朝がやってきた。リズとマークは無事両親のもとに帰った。そんな親子を、ベンチの片隅でサムがじっとみつめていた。彼の膝にはバタシーがうずくまっていた。

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