「1942年の映画「女性No.1」への回答だったのです」ワーキング・ガール あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
1942年の映画「女性No.1」への回答だったのです
1988年12月米国公開
ブラックマンデーという株の大暴落は1987年10月のことでした
ようやく景気も回復しつつあったころの公開です
日本公開は翌1989年5月
バブル最高潮で、本作の劇中でも触れられるように日本の証券会社が米国でのし歩いていたころでした
そして男女雇用均等法の施行は1986年
女性も一般職から総合職になれる制度が始まっていたころでした
自由の女神の空撮から始まります
大きく立派で女性の成功者の憧れの姿を自由の女神をシンボルとして写しているのです
そして終盤の前にも、手が届きそうで届かなかったシンボルとして遠目に小さく登場します
主人公のテスは未婚の女性で30歳
大手証券会社の一般職
マンハッタンの川向こうの下町のブルックリンからフェリーで会社に通ってます
フェリーにのってマンハッタンに通勤するのは身なりの良くない下町の人間ばかりです
テスも生まれ育ちがあまり良くないことは、髪型、化粧、服装、下着、普段の言葉使い、立ち振る舞いからわかります
女友達や彼氏などの交友関係もそんな感じです
両親は出てこないので、高卒で田舎から出て来たのでしょう
それでも彼女なりに成功したいと夜学を5年かかったけれどもなんとか卒業、さらに秘書養成専門学校も出て、上に這い上がろうと彼女なりに努力してきました
働いているいまでも昼休みや会社が終わってからも色々なセミナーに通って自分磨きを続けています
健全な上昇志向です
でも何年働いてもいつまでも事務補助のまま
どんなに仕事を頑張っても証券マンとしてのキャリアを築くための社内研修には、有名大学卒業ではないから選抜されもしないのです
もちろん重要な仕事なんか任されもしません
無限ループなのです
もう30歳
若くもなくなる
男を捕まえて適当に結婚して主婦に収まるならもうそろそろ限界
キャリアをあきらめるのも悔しい
だから、なんとなく態度や雰囲気もヤサグレ感が漂ってます
そんなだから、社内のスケベ男のカモにされかかったりします
そんな女性、21世紀の日本にはどこにだっています
一方、新たに下に付くことになった上司の女性部長キャサリンはハーバード卒です
数ヶ国語を話せ、裕福なのです
ひょんなことから、その部長が足を骨折して数週間休むことになったところに、あるキッカケからテスは部長が入院中なのをいいことに、部長を勝手に名乗って大きな仕事を始めてしまうという物語です
ガーターベルト姿で歌って踊っても
マドンナにはなれないのよ
基本はシンデレラです
魔法で部長になれても、真夜中を過ぎたら魔法は解けてしまい、もとの平社員どころかクビになってしまうのです
ところが王子様はシンデレラを探しだしてお城に妃として迎えるのです
でも本当は、1942年の米国映画「女性No.1」を現代版にした見事な翻案であったと思います
女性No.1は女性にあらず
それが「女性No.1」のテーマでした
そんなことはない!
現代なら難しくとも両立できるはず!という監督からの女性No.1への回答だったのです
あきらめずに、ちゃんと自分磨きに努力していたら、魔法が消えても王子様に相応しいお姫様になれるのだと
どうせ私なんかと卑下していたなら、浮気男と結婚して下町のしがないオバサンで終わってしまう
あなたはそんな人生を選ぶの?
もっと女性も「何でも積極的に」上を目指そう!
本作はそういうメッセージの映画です
「女性No.1」のヒロインはテスという名前でキャサリン・ヘップバーンが演じていました
キャサリン・ヘップバーンはガリガリの骨女の体型です
だから本作でシガニー・ウィーバーが演じた、いけ好かないガリガリの骨女の女性上司の名前はキャサリンなのです
その役の女性も数カ国語を話せ、高い学歴と輝かしい経歴の持ち主であり、しかも裕福なのです
「女性No.1」で主人公のテスと結婚するサム役はスペンサー・トレイシーが演じました
だから本作「ワーキングガール」では、その役の名前がジャック・トレイナーというなんとなくトレイシーと似たものになっているのです
それにトランプはスペードの前はジャックです
そうしてハリソン・フォードが演じる彼は、新しい職場に初出勤するテスに甲斐甲斐しく弁当などをカバンに詰めて渡してくれるのです
「女性No.1」のサムとは大違いです
本作とセットで是非「女性No.1」をご覧なられることをお勧めします
「女性No.1」を先にご覧下さい
活動写真愛好家さん
こちらこそ、いつも共感して下さってありがとうございます
カリーサイモンはなかなか良い曲が多いですね
大好きなシンガーです
これからもよろしくお願いします
あき240さん、こんにちは。活動写真愛好家と申します。いつも共感ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。私もこの「ワーキングガール」は何回も観てまして、カーリー・サイモンでしたか、主題歌 let the river runが大好きだったです。