「人生観の種になった映画」老人と海(1958) odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
人生観の種になった映画
小説の映画化は難しい。読者の感性は様々だから具体的な映像、人物を見せられると好き嫌いが出てしまう。そんな思いのなか、初めて映画が原作を越えたと思えた作品である。まるで物語を読むようにナレーションとモノローグで話は進んで行く、老人(スペンサー・トレーシー)も良いがカフェに集う名もない漁師たちの顔々が素晴らしい。海も魚も鳥も・・、全てがあるがままに映される。
若かりし頃、印象に残ったのは何も知らない観光客が骨ばかりになった巨大カジキを観ているシーンだった。
「あんなに頑張ったのに、あんなにつらかったのに・・・」先生は努力すれば報われると言っているのに、やっと手に入れたご褒美を無情にもサメに奪われてしまう、そんな物語など世間の人は知る由もない・・・。
精根尽きた老人、それでも優しく励まし寄り添ってくれる少年がいる。「幸せになれますように・・」と祈らずにはいられなかった。
その後の人生観の種をもらえたような作品である。
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