「タイトルなし(ネタバレ)」レッド・サン りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
日米修好通商条約が結ばれたころの米国西部。
日本国大使を乗せて首都に向かう列車が強盗に襲撃される。
乗客から金品を強奪し、郵便列車から多額の金貨を奪い、帰りがけの駄賃とばかりに日本国大使から大統領への献上品・金の宝刀まで奪う。
首魁はリンク(チャールズ・ブロンソン)。
だが、彼は相棒のゴーシュ(アラン・ドロン)に裏切られ、金貨も宝刀も持ち逃げされてしまう。
日本国大使から献上品の宝刀を取り戻す命を受けた随行の武士・黒田重兵衛(三船敏郎)は、ゴーシュの逃げ先を知っているというリンクとともに荒野の追跡行に赴く・・・
といった内容。
かつて度々テレビ放映されていたが未見なのは、「西部劇に侍? なんだかイカモノだなぁ」と子供心に思ったからだが、今回はじめて鑑賞しての感想は、「盛り沢山な内容はサービス精神の表れ」ということ。
70年代の娯楽作。
三大スターの顔合わせに、中盤以降は男勝りのウルスラ・アンドレスが花を添える(彼女がビリングの2番目。トップはブロンソン)。
前半はリンクと黒田の徒歩での追跡行が中心で、疑心暗鬼と文化価値の相違などで息抜きシーンとなっていて、近年のアクションつるべ打ちのエンタテインメント作を見慣れた観客には、少々まどろっこしく感じられるかもしれない。
ウルスラ・アンドレスが登場した後には、アメリカン・ネイティブのコマンチ族の襲撃なども展開し、これでもかこれでもかのサービス精神てんこ盛り。
三船敏郎が押し出しもよく最もスターらしい演技、ブロンソンはユーモアも兼ね備えての芸達者ぶり、ドロンは珍しく憎々しい悪役をそれぞれ演じ、三大スターのバランスも良い。
アンリ・アルカンの撮影、モーリス・ジャールの音楽も堂々としており、素晴らしい。
観ていてストレスのかからない娯楽作品でした。