ラムの大通りのレビュー・感想・評価
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60点ぐらい。最初は良かった…
ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB生誕90年祭、にて鑑賞。 ブリジット・バルドーは最初なかなか出てきません。 けっこう面白く彼女なしでも楽しんでいると、開始30分ごろ、ようやく出てきます。 最初は良かったけど、ダレて眠くなった(笑) 禁酒法時代の話です。 映画タイトルは、カリブ海諸国とアメリカ南部を結ぶラム酒密輸の海上ルート“ラムの大通り”から。
バカルディ騒ぎ
ラム酒は大好きで、ラムチョップの香草焼きも好きで、アグネスのラムはまあまあ好きで、虎柄のビキニを着た女の子はそれほどでもないけど(この映画のヒロインは豹柄のビキニで出てくる)。 フランス映画なのに舞台はキューバやジャマイカ、ハイチなどの中米だった。題名は知っていたが、勝手にシャンゼリゼ通りのようにパリの通りだと思い込んでいた。 あくまで視点人物はリノ・ヴァンチュラで、(映画中映画は別にして)肝心の生身のブリジット・バルドーはなかなか登場しない。アクション・コメディを得意とした俳優にジャン=ポール・ベルモンドがいるが、ヴァンチュラは彼ほど軽快なキャラクターではない。暗闇で集中砲火を浴びる謎のゲームの場面など、ただただ陰惨なだけだ。ジャン=ピエール・メルヴィルの「影の軍隊」でのレジスタンス役が印象に残っている。 かつてBBと言えばブリジット・バルドー、CCと言えばクラウディア・カルディナーレ、MMと言えばマリリン・モンロー、NNと言えば長濱ねるだった(最後のはウソ)。15歳で出会ったロジェ・ヴァディムと18歳になるのを待って結婚し、以来結婚と離婚を繰り返して数々の浮名を流したようだ。この映画の出演当時37歳で、さすがに容色の衰えは隠せないが。2年後には早々に映画界から引退している。 バカルディを生(き)のまま飲んでどちらが先に倒れるか対決するシーンが出てくるが、危険なのでマネしてはいけません。ちなみにバカルディは今はさまぁ〜ずという名前に変わっている。
スクリーンから飛び出し帰っていったBB
禁酒法時代のカリブ海の密輸ルート・ラムの大通りを舞台にしたアクションコメディで、監督は名作『冒険者たち』のロベール・アンリコなんで期待してたんだけど、ちょっとピントがズレたような作品で残念でした。前半は密輸船船長の冒険譚で、アメリカ映画のような派手なアクションシーンで盛り上げてくれます。ところが、やっと後半でサイレント映画のスター女優のBBが登場しコメディになるのはいいけど、お話しがダルダルの中弛み状態になってきて退屈しました。作り手の方も、劇中劇でBBを出したり、ノスタルジックな海上アクションや酒場での乱闘シーンなどを詰め込んでいるんだけど、ストーリーの方向性がよくわからずなんか尻すぽみでもったいない感じです。最後に禁酒法が廃止になりトーキーになった映画の銀幕上のBBをヴァンチュラが見つめる幕切れは、酒も大っぴらに飲めず映画もサイレントだった時代へのノスタルジーを感じさせるけど、取ってつけた感ありで、これまた惜しい。役者では、BBが歌にダンスにファッションに相変わらず大活躍だけど、なにを考えているのかわからない感情移入しづらいキャラでイマイチ。リノ・ヴァンチュラは、フィルムノワールでコワモテ役が多い役者さんだけに密輸船船長役はピッタリだけど、コメディ向きではないかな。
ヤクザな船員の破天荒な人生だっちゃ
禁酒法の時代といえば、マフィアが台頭した時代。リノ・ヴァンチェラ演ずるコルニーもそうした方向に進むんじゃないかと思わせておいて、無声映画の女優リンダ・ラリュに恋してしまう物語。 沈没、漂流、パトカーを盗んで転落事故、たどり着いた酒場で皿洗い。この短い序盤だけでも波乱万丈なのですが、マスターに「闇撃ちゲームをやらないか?」と誘われ、そこで大金を得るコルニー。いきなり船主、船長となって恋物語を展開するのです。 途中からはだらだらとしたストーリーにはなるものの、どこか可笑しい登場人物。ケンカとか、酒飲み勝負とか伏線はいっぱいあるものの、BBにデレデレしすぎになってしまい、見てるだけで酔ってしまいそう・・・船の名前は良かったです「LADY OF MY HEART」。 ジャマイカ、ハイチ、パナマ、キューバと、観光映画としても成立しているし、音楽も『冒険者たち』と同じ雰囲気で癒されます。ブリジット・バルドーを見るだけなら他の映画の方がいいけど、セーラー服を着た姿がとてもセクシーでした。
映画好きの映画好きによる映画好きのための映画
「冒険者たち」「若草の萌えるころ」「追想」しか観ていないロベール・アンリコ監督作品すべて好きだが、この度が過ぎる映画好きの「ラムの大通り」はまた格別。 リノ・ヴァンチュラとブリジット・バルドーの洒落た映画。前半のテンポが一定しないことや後半のドタバタ調が全開ではない不満もあるが、アンリコ監督の映画好きが堪らない。上映中にフィルムが焼けて観られなくなると、すぐさま海を渡り別の映画館に駆けつける。そのサイレント映画がまた面白くて唸ってしまう。このヴァンチュラ船長は、すべての映画愛好家の妬みを買うほどに、実に幸せな男だと痛感する。
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