劇場公開日 2024年9月13日

「スクリーンから飛び出し帰っていったBB」ラムの大通り シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0スクリーンから飛び出し帰っていったBB

2024年9月22日
iPhoneアプリから投稿

禁酒法時代のカリブ海の密輸ルート・ラムの大通りを舞台にしたアクションコメディで、監督は名作『冒険者たち』のロベール・アンリコなんで期待してたんだけど、ちょっとピントがズレたような作品で残念でした。前半は密輸船船長の冒険譚で、アメリカ映画のような派手なアクションシーンで盛り上げてくれます。ところが、やっと後半でサイレント映画のスター女優のBBが登場しコメディになるのはいいけど、お話しがダルダルの中弛み状態になってきて退屈しました。作り手の方も、劇中劇でBBを出したり、ノスタルジックな海上アクションや酒場での乱闘シーンなどを詰め込んでいるんだけど、ストーリーの方向性がよくわからずなんか尻すぽみでもったいない感じです。最後に禁酒法が廃止になりトーキーになった映画の銀幕上のBBをヴァンチュラが見つめる幕切れは、酒も大っぴらに飲めず映画もサイレントだった時代へのノスタルジーを感じさせるけど、取ってつけた感ありで、これまた惜しい。役者では、BBが歌にダンスにファッションに相変わらず大活躍だけど、なにを考えているのかわからない感情移入しづらいキャラでイマイチ。リノ・ヴァンチュラは、フィルムノワールでコワモテ役が多い役者さんだけに密輸船船長役はピッタリだけど、コメディ向きではないかな。

シネマディクト