「チャップリン映画では珍しい」ライムライト ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
チャップリン映画では珍しい
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チャップリン映画で最後に彼が死んでしまうとは思わなかった。全体を通して流れる、哀愁を帯びたメロディーが心に残る、チャップリン映画では珍しい悲劇だった。 名作ではあると思うが、それ程チャップリンらしくない映画でもある。
今は落ちぶれているが、かつては喜劇王だった主人公のチャップリンの再起にかける物語と、彼が助けた自殺未遂の踊り子との恋の二つがテーマになっているが、どちらかに絞ったほうがよかったのではないか。それに、137分は長すぎる。最後のアンコールはカットしても良かったと思う。私だけかもしれないが、キートンとの共演のパントマイムもそれほど笑えるものでもなかった。しかも、客に受けているのかどうか客の笑い声がほとんど聞こえなかったのも(客の反応シーンもない)、カットしてもよかったのではないかと言う理由の一つ。
最後の舞台でかつてのような笑いを取り戻せた主人公は結局死んでしまうし、踊り子との恋は、作曲家の出現によって、彼女が本当に好きなのはどっちなのか、口ではチャップリンを愛していると言っているが、実際には本音がわからないままで終わってしまったのはちょっと消化不良気味だ。
ただ、私がこの映画を気にいっているのは上記の2つのテーマではなく、自殺未遂後、生きていても意味がないと言う踊り子に、生きる意味を色々と説教する含蓄のある言葉に感動した点である。
なお、踊り子役はクレア・ブルームで、最近では「英国王のスピーチ」にも出ていた。チャップリンと共演した俳優が、まだ存命と言うのも何か不思議な感じもする。(2021年6月現在90歳)
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