ライオンと呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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「甘えん坊子ども」の走馬灯
かっこいい車、ボクシング、海、動物、若い人に優しい、誰が敵か正確に見分ける、ユーモア、怖いもの知らず、変装、世界のあちこちを飛び回る;今までのベルモンドの映画が走馬灯のようにめぐった。
ルルーシュ監督の手にかかるとベルモンド映画はこうなるのか!『レ・ミゼラブル』同様、ベルモンドの顔のアップから始まる。その顔は涙を流しているような悲しいような色んなことを思い出しているような、人生に満足したような悔やんでいるような、たくさんの表情だ。監督はベルモンド映画とベルモンド自身の人生を重ねて時間軸を少しずらしつつ、重厚で美しい音楽と共に映像のミルフィーユを作り上げた。
ベルモンド映画常連の俳優が何人も出ていて嬉しかったし、ベルモンドが長年にわたって色んな人間を演じ、色んなタイプの映画を作ってきたことがよくわかるいい作品だった。
おまけ
挨拶「ボンジュール」の言い方と動揺しない練習テストの場面、面白くて納得できてとても好きなシーン!
ベルモンドが辿ってきた旅路
孤児から一代で大会社を作り上げ、功成り名を遂げた後に全てを捨て放浪の旅に出た男の人生を描くドラマで、とても面白かったです。冒頭からアップで映し出されるベルモンドの顔に深く刻まれるしわや白髪混じりの髭は、彼自身の人生を感じさせます。前半は、主人公の過去を時系列を前後させて描く構成だけど、すんなりと主人公のキャラやエピソードが入ってきます。後半は、主人公が代理の青年を介して会社を立て直すお話しになるけど、ここで父娘の情感たっぷりのエピソードを絡ませてくるのが上手いです。家族にも仕事にも恵まれているのに、あえて孤独で自由な旅路を選ぶ男を、ベルモンドが体現し、名匠クロード・ルルーシュが熟練の語り口で描く、フランス映画らしい作品でした。
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