劇場公開日 2024年3月22日

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「イーストウッドとヴァン・クリーフとヴォロンテ、男優の魅力と個性が光るマカロニ・ウェスタン」夕陽のガンマン Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 イーストウッドとヴァン・クリーフとヴォロンテ、男優の魅力と個性が光るマカロニ・ウェスタン

2025年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

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ドキドキ

「荒野の用心棒」(1964年)のヒットを受けてセルジオ・レオーネ監督(1929年~1989年)と主演クリント・イーストウッド(1930年生まれ)、そして音楽のエンニオ・モリコーネ(1928年~2020年)のトリオが再度組んで制作されたマカロニ・ウェスタン。黒澤作品「用心棒」を翻案した前作の主人公が今作では名無しの賞金稼ぎのため、日本語タイトルが替えられました。イタリア原題は『Per Qualcle Dollaro in più/数ドル多く払って』で英語タイトルも『For a Few Dollars More/もう数ドルのために』でドルの言葉が入っています。また日本語タイトル「続・荒野の用心棒」(1966年・セルジオ・コルブッチ監督、フランコ・ネロ主演)が日本で4ヵ月前に公開された事情もあり、「夕陽のガンマン」に落ち着いたようです。とは言うものの、主人公が夕陽をバックにしたシーンは無く、ラスト復讐を遂げたモーティマー大佐が夕陽に向って去っていくカットが印象的なだけで、苦肉の策のタイトルでした。

後世に(ドル箱三部作)と称される名トリオのこの第二作の特徴は、そのモーティマー大佐を演じたリー・ヴァン・クリーフ(1925年~1989年)がイーストウッドと肩を並べ活躍する面白さです。本国アメリカでは「真昼の決闘」「OK牧場の決斗」「胸に輝く星」「リバティ・バランスを射った男」などの西部劇に出演し脇役のキャリアを積んでいても、日本では特に注目されなかったヴァン・クリーフでした。それがキャリア15年目で一気に魅力が開花したのですから、レオーネ監督の俳優を抜擢する慧眼に感心しながら、映画ファンとしても嬉しく感じます。映画は主役のスター中心で、脇を固める俳優にはあまり関心を持たないのが普通です。しかし、色んな映画を観ていく中で、脇役でも光るものを見つけて楽しめるのが真の映画ファンと言えると思います。そんな名脇役が脚光を浴びて評価されると、他人事ながら感情移入してしまうのです。10代の頃に前後して観たヴァン・クリーフの印象は、ジョン・フィリップ・ローと共演の「新・夕陽のガンマン/復讐の旅」(1967年)やジュリアーノ・ジェンマとの「怒りの荒野」(1967年)の地味ながらも若手の俳優を支えるベテラン俳優の余裕というものでした。特にジェンマとの相性が良かった記憶が残っています。

作品全体の印象としては、制作費をかけた大作のスケール感が増して、じっくり鑑賞できる良さが増しました。ヴァン・クリーフの復讐劇をメインに、同じ賞金稼ぎのニヒルさを対比させたイーストウッドとの駆け引きの面白さが見所でした。これにジャン・マリア・ヴォロンテ(1933年~1994年)の凶悪で強欲な悪役振りの設定により、派手なガンファイトと残忍性が増して、マカロニ・ウェスタンの特徴を良くも悪くも打ち出していると思います。イーストウッドのモンコが賞金目当てと告白して、それでもヴォロンテのインディオが仲間に加えるところは説得力に欠けますが、裏切りと心理作戦のストーリー展開は最後まで楽しめました。少し違和感を感じたのは、エンリオ・モリコーネの素晴らしい音楽とレオーネ監督の演出タッチが、前半噛み合っていないことです。後半はシンクロしているのに不思議に感じました。調べると撮影後に映像に合わせて作曲したのではなく、先に監督の映像イメージを伝えた音楽ありきの撮影だったようです。モリコーネのスケジュールの都合など、諸般の事情からでしょうか。
個人的には、イーストウッドとヴァン・クリーフとヴォロンテの三人の男優の演技に魅せられたマカロニ・ウェスタンの娯楽大作でした。

Gustav
トミーさんのコメント
2025年12月23日

共感ありがとうございます。
イーストウッドとバンクリーフが同時に痛めつけられるシーンは何故か、ちょっと笑えました。

トミー
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