山羊座のもとにのレビュー・感想・評価
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ヒッチコック作品の先入観を捨てて素直に観て欲しいメロドラマ
原題はUNDER CAPRICORN
CAPRICORNとは南回帰線と山羊座の二つの意味があり、そのどちらとも取れるようになっているのだと思われます
ひとつは「南回帰線(CAPRICORN)の下で」との意味
オーストラリアは南回帰線直下の大陸ですからストレートです
ふたつ目は「山羊座のもとに」で、山羊座の性格とは忍耐強いということなので、本作の内容がなんとなく伝わるように思われます
日本の配給会社の当時の宣伝マンが、こちらの方が日本人には伝わり易いと敢えてこちらを選んだのかも知れません
ヒッチコックにしては珍しい製作同年代の現代劇ではなく、19世紀半ばの時代劇です
舞台はオーストラリア
そして内容はメロドラマ
ヒッチコック作品と知らずに見れば普通にメロドラマの優作と評価されていると思います
しかしヒッチコックと名前がでれば必ずサスペンスを期待されてしまい、結局彼の作品にしては肩透かしだと片付けられてしまい、正当な評価を受けていないように思います
イングリッド・バーグマンの人妻役は、神経が衰弱している様子から、立ち直り自ら行動を起こす様子の対比を見事な演技力で映画を牽引します
総督舞踏会に出席を決意して正装した姿は正に大輪の花が咲いたかのように美しいです
また夫役のジョセフ・コットンもさすがの存在感です
アドレー役のマイケル・ワイルディングも印象に残る演技でしたし、その他の脇役陣も良い演技を見せてくれます
ですから観終わった後の余韻もヒッチコック作品とは違った、メロドラマを観終わったそれです
サスペンス要素はあるにしても、ほんの少しでこれを持ってサスペンスだといえば、何でもそれになってしまう程度のものです
ウイットも総督の舞踏会のシーンでひとつみられるくらいですから本当にヒッチコックらしさはあまりというかほとんど感じられません
きっと作風の幅を広げたかったのかも知れません
ヒッチコックでサスペンスをみるぞー!と思わず
今日はメロドラマでも観るかという気持ちで観て頂きたいと思います
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