劇場公開日 1989年6月24日

「クリーブランド・インディアンス(1915〜2021)」メジャーリーグ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0クリーブランド・インディアンス(1915〜2021)

2021年8月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

興奮

映画館では観たことないがVHSやDVDに金曜ロードショーで何度も何度も観た
毎年一回は必ず観る飽きが来ない野球好きのバイブル的作品
言わずと知れたベースボールムービーの傑作
スポーツ系コメディー映画の最高峰
選手たちは架空だが実在のメジャー球団「クリーブランド・インディアンス」が舞台
万年弱小球団に前オーナーの妻がオーナーに就任
クリーブランド嫌いな彼女はマイアミ移転を実現するためわざとダントツで最下位になる計画を実行
年間観客動員数が80万人以下になれば自由に移転ができる契約をクリーブランド市と結んでいることを目をつけた新オーナー
あまりの弱さに市民から総スカンくらえば彼女の思う壺
新オーナーの思惑で集められた選手はどいつもこいつもポンコツばかり

球は速いがノーコンのリッキー・ボーン
元名捕手だが膝を痛めて落ち目のジェイク・テイラー
俊足だがポップフライを打ち上げてしまうウィリー・メイズ・ヘイズ
長打力はあるが変化球はからっきしのブードゥー教のペドロ・セラノ
打撃はいいが怪我をしたくないので手抜きの守備をするベテラン三塁手ロジャー・ドーン
不正投球を駆使して抑えるベテラン投手エディー・ハリス
そんなメンバーを率いるのはメジャー監督の経験がないマイナーのベテラン監督でタイヤ販売業者のルー・ブラウン

シーズン途中で新オーナーの企みを知った選手たちは発奮
出足は大きくつまづいたがチームは上昇気流に乗って優勝争いに

ジョークのセンスがいい
ファックなど汚い英語の使い方が丁度いい
脚本が素晴らしい
awesomeをモーレツと訳すなど戸田奈津子が担当した字幕も絶妙
何度観ても最後は感動する
笑いあり涙あり
娯楽映画の御手本
これこそアメリカ映画

X(YOSHIKIじゃない方)がカバーしたテーマソング『Wild Thing』はハリウッドの音楽映画五本指に入る名曲
野球嫌いは大仁田厚の入場曲だと言い張るがWild Thingといえばメジャーリーグに決まっとるわクソッタレ

ヘイズがベッドごと球場の外に追いやられる場面が特に面白い

実況アナもいい味を出している

リックが満塁のピンチで三冠王を空振り三振に仕留めてガッツポーズするシーンが特に好き
ジェイクのバントで2塁からホームに生還するヘイズもなかなか

諸事情でクリーブランド・インディアンスは来シーズンからチーム名がクリーブランド・ガーディアンスに変更することになった
抗議する側が常に正しいとは思わないし差別をしていたことを認めたようで釈然としない
だがこのご時世なら『バックトゥザフューチャー3』の「インディアン」を「ネイティブアメリカン」と訳するのも当然か
けれども自分と考え方が違う人間を全て差別主義者とレッテルを貼る攻撃的でヒステリックな偽善者を僕は軽蔑する
何はともあれチーム名が変わってもクリーブランド・インディアンスは映画メジャーリーグともども永遠に語り継がれることになるはずだ

野川新栄