「純愛」めぐり逢い(1957) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
純愛
総合:70点
ストーリー: 75
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 60
音楽: 65
純愛。働かなくても豪勢な暮らしを堪能してきたケーリー・グラント演じるプレイボーイがいる。金持ちに言い寄られて結婚したデボラ・カー演じるしがない元クラブ歌手の女がいる。どちらもそのような相手がいなければ今までのようないい暮らしは出来なくなる。それでも二人は愛のためにその相手との交際を断り、働いたことがない男は看板の絵描きまでしながら日銭を稼ぎ、女は故郷に帰ってクラブ歌手を再開する。言葉だけでない、二人の愛のために本当に行動で示すところが覚悟の確かさを物語る。例え約束のときにビルの展望台で二人は会えなくて二人がうまくいかないと思ったときですら、彼らは元の金持ちに頼ろうともしない。一人で生きていこうとすることで、本気の愛を視聴者にも納得させる。カーの部屋を訪ねたグラントだが、お互いに思惑と事情があって本当のことを言えないじれったさも純愛ゆえであるだろう。
その絵描きのグラントに惚れている大金持ちの婚約者がいる。そのクラブ歌手のカーに惚れている金持ちの夫もいる。グラントとカーはすでに愛し合っていることを知り、それぞれ幸せな結婚生活を夢見ていたのに裏切られ、それでもなおこの二人の金持ちも相手を諦められない。何とか支援を申し込んだり振り向いてくれるときを待ち続ける。グラントとカーの陰に隠れていても、彼らも実は純愛である。
この時代はジェット機も飛んでなくて、海外ロケも簡単ではなかったろう。しかしフランスの祖母の家はすぐにセットとわかる出来の悪さで、南フランスの雰囲気が全然出ていない。プレイボーイの本心を覗ける祖母との出会いの重要な場面なので残念である。船内の場面も船ではなくセットというのがわかる。それに外国の街並みや海の背景を合成しているのが何とも安っぽい。そのあたりの質が低いのがどうも気になるが、古い映画だけあってやむをえないだろう。