「南米チリでの行方不明」ミッシング(1982) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
南米チリでの行方不明
クリックして本文を読む
「君たちを告訴するぞ!」という最後のジャック・レモンの言葉。アメリカの民主主義を賛美するかのような締めくくりだが、一方でアメリカ民主主義のために犠牲となる市民の憤りをも訴えて民主主義の矛盾をも突いた社会派映画!
1970年に自由選挙による社会主義政権を獲得したチリ。これを不服とした富裕層や軍部は反発し暗殺事件が横行。そして1973年には軍部クーデターが勃発する(“9.11”とはアメリカ同時多発テロ事件を意味することがほとんどだが南米ではこのクーデターを指すことが多いとか)。映画で描かれているように、クーは静かに進行し、平和的に行われたかのようだが、戒厳令と大量虐殺も行われたのだろう・・・チャールズの妻ベス(スペイセク)が外出禁止時間に街を歩いてると、道端にころがってる死体を発見するシーンがぞっとする。
父親演じるジャック・レモンの息子は死んだのかもしれないと焦燥感。こんなチリにまで来て何をやってんだ!と嫁を罵るような気持ちもわかる。左翼思想にかぶれやがって・・・などと感じていたんだろうけど、結局は真実をさぐろうとするジャーナリズム精神が彼らに宿り始めるところも面白い。
今ではCIAの関与したクーデターだったことも公然と書かれているようだけど、アメリカ民主主義というのは国際警察たる帝国主義をも同居させているんだということだな。
コメントする