「軽快な口笛とともにあらわれた、若きガンマン」ミスター・ノーボディ(1973) かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
軽快な口笛とともにあらわれた、若きガンマン
セルジオ・レオーネ原案製作、トニー・ヴァレリ監督作品。
音響効果の赤塚不二夫は、巨匠ギャグマンガ家とは同名の別人。
【ストーリー】
長いガンマン生活に疲れた主人公ジャック・ボーレガード(ヘンリー・フォンダ)。
抜群の早撃ちの腕前を持ちながら、散髪店でヒゲを剃るにも安心できない生活に倦んで、ヨーロッパでの引退生活を考えていた。
そこに飄々とした風体の若きガンマン・ノーボディ(テレンス・ヒル)があらわれる。
ノーボディはジャックの行く先々に姿をあらわし、高名なガンマンの最期に立ち会いたいとのたまう。
どこへ行っても命を狙われるジャック。
ジャック顔負けのガンさばきを見せるノーボディ。
腹を立てたジャックが勝負を持ち掛けても、ノーボディは風のように受け流すだけ。
ネバダとレッド、かつての仲間たちが殺され、ジャックはヨーロッパ便の出るニューオリンズへと道を急ぐ。
ジャックをつけ狙うのは、西部にその名を轟かせる強盗団"ワイルド・バンチ"。
執拗な彼らから逃れられないと判断したジャックは、150人からの悪漢どもと荒野をわたる線路上で対決する。
この映画の見どころ、いいえ聴きどころはエンニオ・モリコーネ作曲の軽快な音楽でしょう。
テーマ曲を口笛鳴らして歩けば、根なしの腕利きガンマン気分で風景を新鮮に楽しめます。
古い映画と侮るなかれ、アクション演出のカッコ良さはかなりのもの。
ワイルド・バンチたちとの対決シーン、転倒してる馬とか絶対ケガしてますね、今じゃ考えられない危険なスタントです。
「誰でもない(nobody)」若者ノーボディを演じるテレンス・ヒルも、新風の爽やかさを吹きこんで場面を華やかにしています。
「最後のマカロニ・ウェスタン」と呼ばれたガンマンたちのスタイリッシュな世代交代ドラマ。
並ぶ巨匠たちの名前に肩肘張らずとも、気楽に軽快な気分で見てください。
超お気に入りで、公開時に劇場で観てスグにサントラLP探したが国内未発でしたね。
結局、独盤のみ発売だったのを入手して愛聴してました。
TV初放送時に、ラストの床屋シーンが別バージョンになってて、友人と「アレ違ってたじゃんっ!」ってなりましたねー