「衝撃的なラストに強烈な風刺を滲ませるカラフルでキュートな名作」まぼろしの市街戦 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃的なラストに強烈な風刺を滲ませるカラフルでキュートな名作
こちらは第1次大戦が舞台。フランスの小さな町に駐留していたドイツ軍は町に大量の時限爆弾を設置して撤退することを決定、その情報を知った町の住民はそそくさと避難してしまう。町を奪還しようと目論むイギリス軍は通信を傍受して爆弾設置を知るが設置場所と爆破時刻が判らず、伝書バト係の善良な兵士プランピックに町に潜入し爆弾を解除することを命じる。町に入った途端にドイツ軍に見つかったプランピックは必死で逃走、ある建物に逃げ込むがそこは精神病院。見捨てられた町に取り残された患者たちは突然現れたプランピックを王と崇めてお祭り騒ぎを始めてしまう。
フィリップ・ド・ブロカ監督作品は『リオの男』は観ていますが正直そんなに面白い作品ではなかったので、名作と誉れ高い本作にノレるかどうか正直不安でしたがそんなことは全然杞憂でどこまでもカラフルで楽しい作品。精神病棟から解放された変わり者達が繰り広げるお祭りがとにかくキュート、世間の常識とはかけ離れた思考で奔放の限りを尽くす彼らにイギリス軍もドイツ軍も振り回される様がとにかくおかしいわけですが、なんだかんだの騒乱の果てに対峙する両軍の姿を見た彼らとプランピックが無言で胸に刻む教訓に強烈な風刺が滲んでいて胸を打たれます。冒頭にチラッとヒトラーが出てきたりするシャレも鮮烈、これは確かに名作。
プランピックと婚約させられる少女コクリコを演じているジュヌビエーブ・ビヨルドがメチャクチャキュートで、『リオの~』のフランソワーズ・ドルレアックもそうでしたが、フランス映画には不思議ちゃんがよく似合うなと思いました。ちなみに4Kデジタル修復版での鑑賞、とにかく映像の鮮やかさが別世界でした。
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